どうして子どもには厳しく怒ってしまうのか?

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2020/11/28

出典:すくすく子育て[放送日]2020/11/28[再放送]2020/12/05

長男は、もうすぐ小学生になるので、着替えや歯磨きなど、自分のことを自分でできるようになってほしいと思っています。そのため、なかなかしないときには強い口調で怒ってしまいます。どうして子どもに厳しく怒ってしまうのでしょうか。厳しさの加減もわかりません。
(6歳・4歳 男の子のママ)

小学生になるときに、できないことがあってもいい

回答:大日向雅美さん

小学生になることは、子どもにとって新しい世界が開かれる喜びだと思います。1年生になるまでに、「このレベルまではクリアしないといけない」と思い込んでいるかもしれませんが、できないことがいろいろあってもいいのです。できないからこそ、学校や先生や友だちがいると思ってください。でも、そのように思えない方もいる。それは、世の中が「子どものことは全部、親のしつけの成果」といったプレッシャーを、有形無形で与えているからだと思います。

「自分の子だから」という期待を、少し緩める

回答:大日向雅美さん

例えば、お友だちの子どもにできないことがあっても許せるのに、わが子ができないとそうは思えないことがあります。自分の子どもには、やっぱり期待してしまうものです。この期待と、「小学校にあがる」というプレッシャーの2つを、少し上手に緩めることができれば、厳しさを加減できるのではないでしょうか。
私自身を含めて、年配の人は多くの失敗をしてきていると思います。そんな方から「それでも、子どもは多少のことがあっても育つのよ」といった意見を聞いてみてはどうでしょう。そして、「まあ、いいか」と思えれば、救われると思います。「まあ、いいか」と思えるようになるために、子どもに「半分は、あなたの責任」「あなたもやると言ったのだから頑張ろうね」と、少し責任を託してあげてもよいと思います。
疲れてイライラが頂点に達すると、人格を否定するようなことや、言ってはいけないような言葉で怒ってしまうことがあります。どうしたらよいでしょうか?

前後を含めて振り返る

回答:大日向雅美さん

子どもの人格を否定するような言葉は、言っていいわけではありません。しかし、そういう言葉を言わざるをえなかった前段階があるはずです。また、言ってしまった後に、ごめんねという表情や気持ちを伝えているはずです。このように、前後を含めた文脈で振り返ってみてください。子どもはそれを全部見ています。
厳しい言葉の部分だけを切り取ってしまう傾向があるかもしれませんが、前後を含めて考えて「ごめんね」と言えば、子どももわかってくれます。子ども自身も「自分がいけないことをした」とわかっているかもしれません。ママがあんなに疲れて早くしなさいと言ったのに、僕はしなかった。それで怒られたけど、ママは悲しそうな顔で「ごめんね」と言ってくれた。それで埋め合わせはできていると思います。
エスカレートしないためにできることはありますか?

2度と繰り返さないための目印を作る

回答:大日向雅美さん

人それぞれ、いろいろなケースがあると思いますが、言ってしまった後悔をしっかりと覚えて、2度と繰り返さないための目印を作っておくとよいと思います。
例えば、スウェーデンでこのような話がありました —— ある親が、しつけのため、子ども自身にムチを探させたそうです。でも、子どもは見つけることができず、泣きながら「ムチの代わりにこの石でたたいてください」と言いました。その言葉を聞いて、親はハッと気づくわけです。「私はこの子をたたいたり、ひどいことを言ってきた」「しつけだと思っていたけど、この子の気持ちになってみたら、何てむごいことをしたんだ」と。それから、その石をキッチンの棚に置き、イライラする度にキッチンに逃げ込んでは石を見て、子どもの悲しそうな顔を思い出していたそうです。それがスウェーデンの体罰禁止法につながったといいます。
だれでもエスカレートしてしまうことがあると思います。それを忘れないために、その人なりの戒めとなる目印を、どこかに置いておくことも大事なのではないでしょうか。
厳しすぎると子どもにどんな影響がある?

心の発達に影響することも

回答:大日向雅美さん

子どもにとって、いちばん甘えて、信頼して、全部を受け止めてもらいたいと思う身近な大人が、親です。親が子どもに厳しすぎると、子どもは自分を出さなくなり、人を信じて自分を解放することができにくくなり、信頼関係や人間を信じる心の発達が少し遅れてしまったり、苦しくなることがある、といわれています。

叱るときは行動だけ、ほめるときは人格を含めて

回答:大日向雅美さん

子どもを叱るときは、子どもの人格を否定するのではなく、その行動だけを叱ってください。私たちは「何て悪い子」のような叱り方をしがちですが、それでは人格を否定してしまうことになります。「あなたはよい子。だけど、あなたがした〇〇はよくないと思うよ」のように、部分的に叱るのがポイントです。
逆に、ほめるときは「お手伝いしてくれて偉いね」など、部分的になりがちです。「お手伝いありがとう。いい子ね」「あなたと一緒にいることが楽しいよ」のように、人格を含めてほめてあげるといいですね。

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