自分の子育てはこれでいいのか、周りの目が気になる…

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2018/11/17

出典:すくすく子育て[放送日]2018/11/17[再放送]2018/11/24

娘が4月から幼稚園に通っています。私は人から言われたことがとても気になってしまう性格です。自分の育児についても、なかなか自信が持てません。はじめての育児で、右も左もわかりませんでした。最初はただ過ぎていったという感じで、落ち着いてくると一気に不安が押し寄せてきました。
私の母は、子どもを第一に考えてくれる人で、それを見て育った私は、自然と「母親とはこういうもの」と思っていました。私もそうなると思っていましたが、自分が思っていた以上に私は幼稚で、母のようになりたいと一生懸命になればなるほど、自分を責めてしまうこともあります。
どうすれば「いい親」になれるのか、本や雑誌を読みあさり、子どものためにいいと思った情報にとても敏感になりました。例えば、完全母乳がいいと聞いて、薬を飲むと母乳に影響があると思い込み、子どもが1歳近くになるまで体調が悪くても病院に行かず、一時期は心身のバランスを崩してしまいました。
最近は、特に家の外で人の目が気になるようになりました。ある日、家族3人で電車に乗っていると、子どもがぐずりはじめました。静かにさせようとパパと2人でなだめたのですが、乗客の方に「しつけをきちんとしろ、静かにさせておけ」と言われ深く傷つきました。その時から、子どもがおとなしくできるようになるまで、電車には乗らないようにしています。今もまだ乗っていません。それ以来、子どもを連れてスーパーなどへ出かけるだけでも、誰かに何か言われるのではないかとビクビクするようになってしまいました。周りの目が気になって、子どもがちょっとはしゃぐと、無意識のうちにドキドキしてしまい、子どもをなるべく静かにさせようとしてしまいます。
人の目を気にせず、もっと自信を持って子育てしていくにはどうすればよいのか悩んでいます。
(4歳1か月の女の子をもつママより)

日本の社会は子どもに厳しい

水無田気流さん回答:水無田気流さん

日本の社会は、子どものようなコントロールができない、きちんとできないものへの目線がとても厳しい。ベビーカーは、自身で歩くことができないという意味では、車いすや杖の利用者と同じ交通弱者です。それなのに、「子どもを産むのは自己責任、自分で決めたことだから自分でなんとかしろ」という空気がとても強い。日本はただでさえ少子化が進んでいるのに、子どもを邪険にし過ぎているので問題だと感じています。

社会は少しずつ変わってきている。優しい目を持つ人の声を大きくしよう

大日向雅美さん回答:大日向雅美さん

2つの意味で、つらいと感じました。
ひとつは、本当につらい思いをされて電車に乗れなくなったことに、つらい以上の怒りを感じます。もうひとつは、社会は少しずつ変わってきていることも伝えたいということです。それが伝わり切れていないことも、つらく思いました。
私は子育て支援のNPOを運営しています。そこでは、同じように子育て中につらい経験をした中高年の人たちが、同じ経験を若いママ・パパにさせてはならないという思いで、講座を受けて、それぞれの地域でとてもあたたかい活動をしています。そういった、優しく思いやりのある目をもっと生み出さなくてはいけないと考えています。
私は、電車で厳しい言葉を投げかけた人に対して、他の人が傍観者でいたことも許せません。子どもが泣いていれば目線が集まります。私も見るでしょう。でも、そのとき厳しい目だけではなく、「何かお手伝いしたい、大丈夫?」と声をかけたい思いで見る人も決して少なくありません。あと一歩の勇気で声をかけたい。あるいは、中高年の人たちは、厳しいことを言った人に「あなただって昔は同じことをなさっていたはずです」と言う勇気をもっと持ちましょうと言いたい。
社会にはとても優しい人と、厳しい人とが混在しています。それが多様であるということです。少しでも優しい気持ちを持った人たちの声を大きくするために、ママ・パパたちが「こんなにつらい、こんなにひどい目にあった」と訴えてもいいと思います。それが、このままではいけないと動き始めるきっかけになると思います。

現実社会の目だけでなく、SNSやネットが気になるという声も多く寄せられています。例えば、SNSで楽しそうな親子を見ると、そうできていないことに不安を感じるといいます。SNSは、今の子育てにどんな影響を与えているのでしょうか。

子育てが「見える化」「見せる化」している

水無田気流さん回答:水無田気流さん

SNSで子育ての体験を伝えて「いいね」をもらう。そのような形で子育てが「見える化」「見せる化」してしまっています。でも、SNSで見られるキラキラした子育てのほとんどは、人に見せたいようないい瞬間を切り取ったもので、多少大げさな部分もあります。常にキラキラした子育てが続いているわけではありません。
それでも、人は周りの人たちと自分を比較して、満足や幸せや不幸を感じてしまいます。そのため、どうしても相対的にできていない自分が悲しくなってしまうのです。

他者と比較しないほうがいいと理解していてもしてしまう。そんな気持ちを、どう解決していけばよいのでしょうか。

自分にとって重要な他者を決める

大日向雅美さん回答:大日向雅美さん

人間社会で他者の目を意識しないで過ごすことはできません。でも、他者にもいろいろあります。テレビなどのメディアも、SNS上の匿名の方も、近所ですれ違った人も、家族だって他者なのです。その中で「自分にとって重要な他者」は誰なのか決めることが大切です。子どもやパートナーや親友など、ごく少ない何人かを大事な他者として、その人との関係の中で、自分がどう見られているのかは気にしてもいいと思います。それ以外の他者は、気にしなくてよいのではないでしょうか。


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