赤ちゃんの離乳食、どの情報が正しい? どう選べばいい?

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2023/11/02

出典:すくすく子育て[放送日]2023/11/02

息子(1歳4か月)が離乳食を始めたころ、いろんな情報を集めていました。月齢によって食べさせていいもの・だめなものなど、本によって微妙に違い、細かいルールが多くて難しいと感じました。ネットでもかなり調べて、検索魔になっていました。鉄分補給についても悩みました。

そうやって調べていくうちに、WHO(世界保健機関)の「補完食※」のガイドラインに行きついたんです。日本の離乳食の本を見ると、細かい食材リストがあって、どの食材がどの時期(初期・中期・後期)なら食べていいなど、詳細に書いてあります。でも、補完食の考え方は、そこまで気にしなくても、基本的に必要な栄養素をしっかり押さえることが大切だと思えて、納得感がありました。補完食の資料だけではわからないところは、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」を参考にしました。
いろんな情報を見て試行錯誤していましたが、赤ちゃんの食の正しい情報は、どう選べばよいのでしょうか?
(お子さん1歳4か月のママ)

※補完食:WHOが推奨する赤ちゃんの食事。母乳だけでは足りなくなる栄養やエネルギーを補うため、生後6か月ごろから、5倍がゆくらいの濃さの主食、鉄が豊富な肉や魚などを食べさせるように勧めています。

鈴木あきえさん(MC)

検索魔の経験がある人は多いと思います。私もそうでした。大量の本とアプリも駆使していましたね。
鈴木亜美さん

私は主にSNSでしたね。本だと、読んでいると頭が固くなってしまい、実際に行動するのが難しかったんです。なので、SNSで先輩ママがどんな食材を使っているのか、どう動いているのかを見て、まねていました。


―― すくすくファミリーのみなさんはいかがでしたか?

〇月齢に対して歯が生えてくるのが遅かったので、食材の固さや大きさなど、本の通りにしていいのかわからなかったです。
〇少し知りたいと思ってインターネット検索やSNSを利用すると、知らなかったことが書かれていて、不安になりました。
〇SNSは情報が多すぎて選択できなかったので、本だけを見るようにしました。


―― 川口さん、どう情報を選んでいけばいいでしょうか?

「授乳・離乳の支援ガイド」を見ると、昔から大きく変わっていない

回答:川口由美子さん 

今の時代は情報にあふれていて、だからこそ迷ってしまいます。その中で、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、妊産婦や子どもに関わる支援者に向けてまとめられたもので、研究による科学的知見、育児環境などの変化により改定されています。でも、実は基本的な部分は、昔から大きく変わっていません。基本的に、離乳食に関する情報は、この支援ガイドをもとに書かれています。


※厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」より

「補完食」と「離乳食」の基本的な考え方は同じ

回答:川口由美子さん 

「補完食」と「離乳食」も、赤ちゃんが急激に成長するため、母乳やミルクだけでは栄養が足りなくなるので、その分を補おうという基本的な考え方は同じです。
WHOが世界各国に向けて勧めている「補完食」は、主に母乳をメインにして食事で補うという考えです。一方で、日本の従来の「離乳食」は、「乳離れ」をイメージしてしまうかもしれませんが、母乳・ミルクをやめる意味ではありません。母乳・ミルク以外の固形の食べ物で主に栄養をとれるようになることが「離乳の完了」であり、母乳は続けて構いません。


―― 離乳食は、最初は10倍がゆで、徐々に7倍がゆ、5倍がゆにしていくと聞きます。離乳食や補完食には、食べさせ方のルールがありますか?

10倍がゆなどの指導は、作りやすさ・食べやすさへの配慮

回答:川口由美子さん 

実は、「授乳・離乳の支援ガイド」には、10倍がゆ・7倍がゆといった記載はなく、「つぶしがゆ」について説明されています。親にとって、初めてのおかゆの作りやすさ、赤ちゃんの「食べる練習」として口に入れてゴックンしやすいのが10倍がゆ、と指導していることが多いかもしれません。本などでも、10倍がゆから少しずつ水分を少なくしていく、と書いてありますね。でも「つぶしがゆ」の水分量に決まりはありません。子どもによって、つぶしたものが好きな子もいれば、ごはんに近いほうが食べる子もいます。赤ちゃんの食べる様子をよく見て、子どもの発達、好みや意欲に合わせて、臨機応変に少しずつ硬さや量を調節すれば大丈夫です。

離乳食の本はあくまでも「目安」。最低限のルールを守り、子どもの成長・発達を見て進める

回答:川口由美子さん

おそらく多くの方が見ている本は、離乳食のレシピだと思います。初めて離乳食を作る方にも、わかりやすく細かく説明されていますが、あくまでも目安です。解釈の違いにより、本によって異なることが書かれているかもしれませんが、厳密に本の通りにしないといけないわけではありません。
いろいろなところから情報を得ることは、保護者が楽しく、興味があって調べるのであれば、とてもよいと思います。調べることで混乱したり不安になる場合は、一度力を抜いてみましょう。家で準備しやすいものを使って、赤ちゃんの食べやすさに合わせて、最低限のルールを守って、子どもの成長・発達をよく見て進めていけば、大きな問題はありません。

赤ちゃんに食べさせてはいけないもの

赤ちゃんに食べさせてはいけないものは、はちみつ、アルコール、生の肉や魚、味が濃すぎるものです。酒やみりんなどのアルコールはしっかり火にかけて、アルコール分を飛ばせば使用できますが、離乳食期は使わないほうが安心です。
窒息につながる硬くて小さいもの、まるいものも控えましょう。中期以降は、指でつぶせるぐらいの硬さであれば使いやすいでしょう。

インターネットやSNSは、経験談として受け止める

ネットやSNSなどの情報で気をつけたいのは、「これが正しい」と信じ過ぎないことです。あくまでも経験談のひとつとして受け止め、振り回されないようにしましょう。


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