【専門家に聞いてみよう】デジタル時代 親子で何をする?

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2019/07/15

スマホ・タブレットと子ども どうつきあう?~

Eテレの子ども番組のコンテンツが利用できるアプリ「NHK キッズ」が5月にリリースされました。デジタルコンテンツをどんな風に子育てに取り入れたらいいのか、「すくすく子育て」などでおなじみの小児科医・榊原洋一さんに伺いました。

デジタルに慎重な日本の子育て

このごろは、いろいろなものがデジタル化されてきていますよね。デジタル絵本とかVRとか、身のまわりにも多種多様なコンテンツが登場してきました。そういう新しいテクノロジーに対して、日本はちょっと慎重というか、遅れがちなところがあります。

家庭教育に関する4か国調査(日本、中国、フィンランド、インドネシア)で、家庭でのメディアとの関わりについて調べたのですが、中国とフィンランドはほとんどの家にタブレットがあること、フィンランドなどでは、子どもを育てる中で日常的にタブレットを利用していることなどがわかりました。子育てのシーンでどんな風にタブレットを使っているかというと・・・タブレットを使って教材のコンテンツを親子で見たり、自分たちで撮影した動画を見たりと、子育ての中でさまざまな使い方がされています。

日本では、子育てのシーンにデジタル機器を使うことに警戒感があるように思われるのですが、その理由のひとつには、子どもが長時間スマホ漬けになってしまうのでは、という懸念があるのではないでしょうか。でも、この不安は、絵本をいっしょに読むような感じで「親子で一緒に視聴する」ということで、かなり解消できると思います。
コンテンツの中身もご心配される方が多いかもしれません。コンテンツの内容を吟味して、良質なものを選ぶことは子どもだけではできないので、親の仕事になると思います。お子さんの好みやタイプをみながら、親子でコミュニケーションしながら楽しめるコンテンツを探していくといいですね。

子育てに適度な“便利”を

日本で、子育てのシーンにおいて6割の親はスマホをなんらかの形で使っているといいますが、“子どもを一人でスマホで遊ばせる”というケースは少なく、親がいるところで一緒にコンテンツを見たり、親が子どもの写真を撮っていっしょに見る、というように、“子どもとの関わりの一環”としてスマホを使っていることが多いんです。さまざまなデジタルコンテンツも、そんな風に“ちょっと便利な絵本”といった位置づけで親子で使うのがいいのではないでしょうか?
私の2歳の孫も、絵本を読んで、ってもってくるんだけど、ずっと読んでるとだんだん疲れてきて・・・でも、何度も同じのを「読んで」って言ってくるので、そういうときに、「NHK キッズ」なんかをいっしょに見ようかなあ、と考えています。

日本の子育ての分野では、新しく便利なものが出てくると、反発を受けることが多いのですが、その背景には“子育ては親、特に母親が、子どもから目を離さずに手をかけて育てる”という“文化”というか“風土”みたいなものが感じられます。
例えば、“おむつは布おむつで”なんて、紙おむつが出始めのころは盛んに言われました。“おむつを洗うときに、赤ちゃんのうんちの状態を見てあげるべきだ、それを紙おむつにしてポイ捨てするなんて”という風当たりが強かったです。“離乳食は全部手作りして”という声もありました。“レトルトなどではなく、手作りの母親の愛情がこもった離乳食でないとよくない”というんですが、だんだん紙おむつや市販のベビーフードも広がっていきました。おそらく、いまはデジタル機器についても似たような警戒感があるのだろうと思います。

ただ、現代の子育ては核家族で行われていて、それは物理的・精神的にもとても大変なことです。ですから、便利なものがあれば導入して、それぞれのご家庭が楽しく子育てできるような工夫をどんどんしたらいいのではないでしょうか。

参考)ベネッセ「幼児期の家庭教育国際調査」2018年

snm_001_p榊原洋一(さかきはら・よういち)
お茶の水女子大学 名誉教授/小児科医
専門は、小児科学、小児神経学、発達神経学など。子どもの発達や成育環境に詳しく、書籍、「すくすく子育て」他メディアへの出演多数。

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