【専門家に聞いてみよう】子どもにつけてほしい力って?(5)

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2019/05/10

子どもにつけてほしい力って? ~「非認知的能力」と「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」~

「子どもに幸せな人生を歩んでほしい」「先行き不透明な時代に、子どもには生き抜ける力をつけてほしい」・・・では、そのためには、子どもはどんな力を身につけたらいいのでしょうか?

最近、しばしば耳にする「非認知的能力」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」について、“詳しくはわからないが、なんとなく身につけておくとよさそうな力”だと感じているパパ・ママもいらっしゃるのではないでしょうか。

そこですくコムでは、「非認知的能力」「10の姿」についてのいろいろな疑問を、幼児教育の専門家、大豆生田啓友さんにうかがいました。そこには、“幸せな人生” “生きる力”のヒントがありましたよ!

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Q
「非認知的能力」が、これからの時代を生きていくために大事、と聞きます。「非認知的能力」をつけると、子どもが社会に出て行くころ、AIに勝てるような大人になれるでしょうか?

不透明な時代に幸せを見つける力

AI社会っていうのが、いつごろ、どんな形で来るのか、僕の中でも想定できていないので、細かい部分はなんとも言えないんですけど、ただ、「非認知的能力」を、“どんな状況におかれても、その状況の中でなんとか事態をやりくりしていく力”ですとか、“おかれた状況の中で幸せを見出していく力”という風に考えてみると、どんな社会が来ても、それなりにやっていける、幸福感をもちながらやっていけるのだろうと思います。“非認知的能力があれば、AI社会でも自分の望む仕事につける”というように、仕事だとか経済的な利益に直結するかどうかはわかりませんが、どんな状況の中でも、自分をうまく処していくとか、人や環境とうまく折り合えるとか、そういった形で人生を生き抜いていけるだろうと思います。

「できる」「できない」だけで考えていくと、自分が望む仕事につけなかった時に“やっぱり自分はダメなんだ”と落ち込んでしまうけれど、そんな逆境のときでも、なんとかやりくりして前に進んでいける、それなりに幸せを見つけていける、っていうのは、大事なことですよね。特に、変化が激しく、この先にどんな将来が待っているかわからない、という時代においては。そういう意味では、非認知的能力は子どもの将来を切り開く力をもたらしてくれるものだろうと思います。

時代、そして人生の局面に合わせる力

また、ちょっと複雑に聞こえるかもしれないんですが、ものの見方として、「“能力”“スキル”が身についた」という考え方もありますが、「能力が身についたんじゃなくて、置かれた状況の中で、状況に合わせてそうしている」「状況に合わせていたら、こんな処し方になった」という見方もあります。それはそれで立派な身の処し方、ということです。それで何とかやっていけてるんですから。このように状況に合わせていく非認知的能力の力というのは、人生のいろんな局面・・・順風満帆のときも、何とかかんとかしのいでいるときも、両方いけるのではないかと思うんです。そんな風に考えてくると、どうなるかわからないAI社会に対しても、非認知的な力が身についていると、「自分なりにこうしていこう」という構えや気持ちの力とでもいうべきものがついて、なんとかやっていける可能性は高くなるといえるでしょうね。

ひとつ、気をつけておきたいのは、非認知的能力のイメージを勝手に決めつけないように、ということです。非認知的能力はさまざまな現れ方をしているかもしれないので・・・ひょっとして、現代の若い人たちが車を買わない、コンビニで何でも済ませればいいや、なんていうのも、大人から見ると問題視されてしまうこともあるけれど、その時代にあった幸せの探し方をしている、といえるかもしれません。

snm_001_p大豆生田啓友(おおまめうだ・ひろとも)
玉川大学教育学部教授(幼児教育学・子育て支援)
幼稚園教諭の経験をもち、保育所・幼稚園や子育て支援施設をフィールドとして、幼児教育・保育・子育て支援についての実践研究を行っている。3人の子どもの父親でもある。

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