子どもの目(2)弱視
子どもの「見る力」を育てるには、小さいころ、特に3歳までの時期がとても大切です。小児眼科・専門医の富田香さんに教えてもらいました。
今回は、早めに見つけたい弱視です。
講師: 富田香(小児眼科専門医)
弱視とは
視力の発達のためにいちばん大事なのは、両目で、同時に、網膜に鮮明な像が映ることです。どれかが欠けると発達が阻害されてしまいます。
視力が発達する時期に、何らかの理由で網膜に鮮明な像が映らず、目から正しい情報が伝わらないと、脳の見る機能が育たず、弱視になります。眼鏡をかけても見えるようにはなりません。
弱視の要因になる目のトラブルには、先天性の白内障など「目に光が入らない状態」になること、目の位置がずれる「斜視」、「強い遠視や乱視」などがあります。弱視の割合は、およそ50人にひとりです。
早い時期に気づくことが大事
視力の発達期間である8歳ごろを過ぎると治療は難しくなります。
できるだけ早く発見して治療を始めれば、健康な視力に近づきます。子どもがどんなふうに見ているか、見え方の様子にも気を配りましょう。
子どもは、自分が見えづらいことに気づきにくく、家族も外見からはわからない、ということが少なくありません。見えづらい「サイン」を見逃さないようにしましょう。例えば、見るときに目を細める、テレビや絵本などに極端に顔を近づける、細かいものを見ようとしない、または見落とすことがある、横目(上目、下目)で見る、顔を傾けて見るなどです。
他に、まぶしそうにする、片目をつぶるなどのくせがある場合も気をつけましょう。
片目だけが悪いと弱視が強くなる傾向があります。絵本を読んでいるときなど、片目ずつ隠してみましょう。目がよくても隠すと嫌がる子は多いのですが、左右で反応が違う、極端に片方だけ嫌がる場合は注意してください。
斜視のチェック
子どもを正面からフラッシュ撮影することで、斜視のチェックができます。
フラッシュの反射する光が、両目とも黒目の真ん中に映っている場合は、斜視の可能性は低く、光が黒目の中心に映らず、ずれている場合は斜視の疑いがあります。
※スマホのライトでは反射しない場合があります
3歳児健診が重要
3歳児健診はとても重要です。視力をきちんと測って、両方の目が見えていることを確認しましょう。
3歳児健診の目の検査は、配布されるキットを使って家庭で行います。すき間から見えないように片目ずつふさいで検査してください。
※検査の方法は自治体によって異なります
ゲーム感覚で楽しく、間違えても叱らないことも大事です。うまくいかなかったときや、子どもがふざけてしまってできなかったときは、そのことを素直に健診の二次検査のときに必ず伝えてください。もしもの見落としがないようにしましょう。
弱視の治療
弱視の治療は、主に眼鏡とアイパッチなどを使います。
小さな子どもが眼鏡をかけるのはとても大変です。家族で励まし、保育園・幼稚園などの協力もお願いしましょう。
まいにちスクスク「子どもの目」の番組記事
- (1)目の発達
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- (3)近視
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