ずっと便秘の薬に頼っていても大丈夫?

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2025/05/10

出典:すくすく子育て[放送日]2025/05/10[再放送]2025/05/15

長男(3歳11か月)は、生後1か月から現在まで便秘の症状が続いています。2歳くらいのときに肛門から出血し、痔(じ)のような感じがあったので受診したら、痔と診断されました。複数の薬で便秘の治療を続けています。
うんちをやわらかくする薬(浸透圧性下剤)を食事に混ぜて、薬の効果もあり2日に1回ほどのペースで排便できるようになりました。薬は毎日朝と夜、病院からもらった排便日誌にうんちが出たらチェックすることを1年以上続けています。
薬を使わずに毎日出るようになるのはいつなのかと不安を抱えながらも、前よりはよくなったとも思っています。今後、薬を使わなくても出せるようになるのでしょうか。
(お子さん3歳11か月のママ)

薬を使って正常な排便の状態を続けることが大事

回答:中野美和子さん

みなさん「早く薬をなくしたい」「なるべく薬を飲ませたくない」と思っていますが、少し考えてみてください。便秘の治療とは、正常な排便を続けることです。正常な排便は、頻度が週に3回以上で快便であること。それ以外は全て便秘なので、薬で正常な排便を実現して、その状態を継続することが大事なのです。

うんちチェックシート

これは便の状態を表す世界的な基準で、よい便か悪い便かを見極める「うんちチェックシート」です。あくまでも大人の便に合わせた基準で、子どもの場合は少し見方が変わります。

うんちチェックシート
※便の状態を表す世界的な基準 ブリストルスケール(ブリストル大学)

子どもの場合、例えば1歳の子がタイプ4のうんちを出すのはちょっと難しく、2~3歳になるとだんだん形があるうんちを出せるようになります。人によっては3~4歳でもタイプ4のうんちでは硬くて嫌がる子もいます。

薬を使って週3回以上出ていればだんだんよくなってくる

回答:中野美和子さん

写真で見たお子さんのうんちはタイプ4~5ですが、とても大きかったです。やわらかいけど、とても大きなうんちです。直腸にたくさんためてから出しているのでしょう。おそらく、飲み薬でやわらかくなっているけど直腸にためるパターンは治っていないと思います。お子さんが排便するときは、がんばっていることと思います。
今、2日に1回便が出ていて、とてもよいパターンですが、本当はもう少し排便を楽にさせてあげたいですね。私自身はかん腸や座薬を使う治療方針なので「出ない日はかん腸で出す」と指導していますが、薬でやわらかくしてがんばって出すのを週3回以上続けているのであれば、だんだんにはよくなってくると思います。
丸山桂里奈さん(MC)

「薬って大丈夫なのかな」と心配するし、ずっと薬を続けるとクセになってしまう気がします。
りんたろー。さん(MC)

薬に頼っていたら、自分で出せなくなっちゃうんじゃないかというイメージがありますよね。

薬に頼ることを心配するよりも楽に排便することが大事

回答:中野美和子さん

その考えはよくわかりますが、考え直してみてください。楽にすっきり出せるようにいろいろと努力しているわけで、それができない間は薬をきちんと使って楽に出してほしい。楽に出すほうが大事、毎日出すほうが大事、薬を使っても構わない、と考えてください。遠慮なく薬を使っていいのです。
薬を使ってきちんと出したほうが、いい腸になっていき、結果的にいい治療になります。もちろん時間がかかることはあります。長い人では年単位で薬を使います。


―― 薬を飲んでいれば、いつかは自力で出せるようになりますか?

薬の力と子どもの体の成長力でよくなっていくケースが多い

回答:中野美和子さん

子ども自身の能力が上がるにつれて改善していきます。成長は大事な要因です。ぜひ安心して薬を使ってきちんと出して、いい成長をしてほしいと思います。いい体をつくり、いい腸をつくることが、大人になったときのいい腸につながっていきます。


―― 薬に副作用はないですか?

浸透圧性下剤はうんちに効く薬で、体には吸収されない

回答:中野美和子さん

お子さんが使っている薬は、浸透圧性下剤という腸内で水分を集めて便をやわらかくする効果のある、とても穏やかに効くいい薬です。これはうんちに効く薬で、体には吸収されません。

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