どうして、キャリアか子どもかの選択を突きつけられるの?

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2023/06/03

出典:すくすく子育て[放送日]2023/06/03[再放送]2023/06/08

社会人になってから学校に通い、税理士試験に合格。転職してキャリアを重ねてきましたが、1年半ほど前に退職しました。理由の1つは、子どもを望んだことです。長時間の労働や人手不足などもあり、子育てしながら仕事ができるとは思えませんでした。産休中に仕事をフォローしてもらうのも難しく、そのあと復職するような雰囲気ではなかったんです。仕事と育児の両立に自信がなく、土俵が違うのにキャリアと子どもを天秤にかけていました。
今では、悩んでいた何年間かが無駄だったのではないかと感じるぐらい、出産を決断してよかったと思っています。出産後、就活と保活を行い、子育てに理解のある会社に出会うことができました。職場のみなさんに迷惑をかけるのではないかと不安もありますが、もうすぐ復職です。キャリアか子どもかの選択を突きつけられることがなくなればいいのにと感じています。
(お子さん7か月のママ)
鈴木あきえさん(MC)

特に第1子を妊娠したいと思ったとき、「子育てかキャリアか」の2択を考えてしまいました。仕事は好きだけど、このペースで続けるのは精神的にも体力的にも難しいと思ったんです。本当は比べるものではないのに、自分で自分に選択を迫っていました。
木下ゆーきさん

とても共感できます。まだ長男が小さかったころ、私はシングルファーザーでした。そのころ、保育園から「熱が出たので迎えに来てください」という連絡が入ったときがつらかったですね。職場に迷惑をかけるという罪悪感で心が重くなっていました。だから、スマホの電話帳で、保育園の登録名を好きなタレントの名前にしてみました。電話連絡があってもその名前が表示されるので、少しはテンションが上がるかもしれないと思ったんです。


―― すくすくファミリーのみなさんはいかがですか?

〇歯科医でしたが、妊娠で退職を余儀なくされました。例えば、勤務中に急に体調が悪くなって病院に行くことになれば、そのあとの約束がキャンセルになります。そのため、妊娠後期になる前に、一旦仕事はすべてお休みにしました。

〇これまで育休を2回とりましたが、キャリアとの天秤で悩みました。でも、上司に相談すると「全然取っていいよ」と言われたんです。育休は、キャリアに多少の影響があるかもしれませんが、とても大事な期間だと思います。「復帰後に挽回してやろう」ぐらいの気持ちでいいのかもしれません。


―― 天野さん、キャリアと子育てをどう考えますか?

悩んでいた期間は無駄ではない

回答:天野妙さん

子育てをしていると、子どもの成長や自分のキャリアとの兼ね合いで、何度も仕事をあきらめざるをえないことがあります。私も、そんな気持ちになったことが少なくありません。
ただ「悩んだ期間がもったいない」と思うことはありません。キャリアの開発では「自己理解」が重要です。自己理解とは、自分の「興味・関心」「能力」「価値観」を知ること。でも、自分のことを考える時間は、子育てや仕事をしているとなかなか持てません。その意味では、悩んだ期間は無駄ではなく、そのとき考えた自己理解が、次のステージに行くときに役立つはずです。

子育て支援がないと、企業も社会も持続可能ではなくなる

回答:天野妙さん

今後、子育てを応援しない企業は存続が難しくなると思います。これまで、経済最優先・仕事最優先にして、ほかのことが後回しになっていた時代がありました。その結果が、今の少子化だともいえます。政府も「こどもまんなか」と言いはじめているように、子どもを真ん中に置いて、子どもを育てている人たちをきちんと支援する社会構造にしないと、企業も社会も持続可能ではなくなります。「こどもまんなか」について、改めて考え直して進めていくことが大事だと思います。

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