子どもの「伝えたい」という気持ちを育てるには?

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2020/07/11

出典:すくすく子育て[放送日]2020/07/11[再放送]2020/07/18

解説:久保山茂樹さん

「伝えたい」という気持ちが、コミュニケーションの始まりになります。コミュニケーションとは、誰かと誰かとの間で何かを共有することです。赤ちゃんは、共有するという仕組みを、少しずつ、時間をかけてつくっていきます。

コミュニケーションの発達のしかた

生後間もないころは、赤ちゃんの発信に大人が答えるという、応答的環境の中で「赤ちゃんと大人との関係」が育っていきます。
おすわりや、寝返り、ハイハイができるころになると、周りにある「もの」にも関心が出てきます。ものに手を出して触るなどして、「赤ちゃんとものの関係」がつくられていきます。ものに関わっているときは、周囲の大人に注意は向かず、ものだけに集中しがちです。
そして、9か月くらいになると、赤ちゃんは、大人とものを同時に意識し、共有できるようになります。「赤ちゃんと大人とものの関係」です。これを、「三項関係」といいます。

例えば、赤ちゃんが「アー」と言いながら、お母さんにおもちゃを差し出す。これは、赤ちゃんとお母さんとの間で、おもちゃを共有している状態です。あるいは、電車を見たとき、「アー」と指さしながらお父さんを振り返る。これも、赤ちゃんとお父さんとの間で、電車を共有しているのです。
こうしたことを積み重ねていく中で、「ことば」が生まれていきます。車を見て「ブーブー」と言うのは、ことばの始まりなんです。

「伝えたい気持ち」を育てるスイッチ

人と何かを共有する「三項関係」という仕組みができあがることで、赤ちゃんのコミュニケーションが広がります。三項関係がうまく働いて、ことばが育っていくには、3つのスイッチが入ることが大切です。

1)「楽しい」や「びっくり」など、心が動く体験をすると、思わず「アー!」「おぉ」と声を出すなど、表現をしたくなります。

2)子どもが「楽しかった」「びっくりした」と表現したときに、大人が「楽しかったね~」「びっくりしたね~」と言ってくれる。体験を子どもと大人が共有することも、子どもの伝えたい気持ちを高めます。

3)子どもが声や体で表現すると、何を言っているのかわからなくても、大人が「そうだね、〇〇だね」と返してあげる。そんな応答的環境にいると、子どもは自分の表現が通じたうれしさを味わい、「また表現したい」と思うようになります。

親にできること

「伝えたい」という気持ちを育てるために、親は、どんなことから始めたらいいのでしょうか。

まずは、子どもが夢中になって何かをしているとき、並んでそばにいるだけでも十分なのです。子どもは、誰かが寄り添ってくれることで、「自分がしていることを認めてくれている、興味を持ってくれている」と感じて、とてもうれしい気持ちになります。
このとき、あまり大人が声をかけ過ぎると、せっかくの遊びが中断してしまうことがあります。子どもが振り返ったり、手をつかんできたりすることがあれば、そのタイミングでしっかりこたえてあげましょう。

親子のコミュニケーションを自然に促す体験として「お散歩」がおすすめです。例えば、子どもが犬を指さしていたら、「ワンワンいたね」と声をかけてあげる。こちらからたくさん話しかけるよりも、子どもの心が動いたときに声をかけるのがよいでしょう。
ふだんの何気ないコミュニケーションの中に、ことばを育むヒントが含まれています。


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