子どもにとって、遊びの中で力を身につけるとは?

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2017/06/24

出典:すくすく子育て[放送日]2017/06/24[再放送]2017/07/08

幼児期に、遊びの中で必要な力を身につけていく。その実践例を見てみましょう。

港北幼稚園

神奈川県横浜市にある「港北幼稚園」。登園から帰るまで、子どもたちは基本的にやりたい遊びだけをやって過ごすそうです。でも、そんなに好きに遊ばせて大丈夫なのでしょうか?

渡邉英則さん(港北幼稚園 園長)渡邉英則さん(港北幼稚園 園長)

単純に、子どもは好きに遊ぶ方が面白いんです。子どもたちが面白がっていることを応援していくと、子どもたちは勝手に何回も繰り返す、夢中で試行錯誤する、色んな発想を出していく。大人が考えて子どもたちに何かさせようとするより、子どもたち一人ひとりが自分を出してきます。

 

縄跳びひとつをとっても、子どもが納得するまで続けます。そのように遊びこむことで、学べることがあると言います。

例えば、自分たちでルールを作り、縄を跳ぶ順番を守るようになる。自分のやりたいという気持ちを尊重された子どもは、他の子の気持ちも尊重できるようになるのです。
また、自分ができないことでも、できている友達に刺激され、何度もチャレンジしようという気持ちにつながります。

渡邉英則さん(港北幼稚園 園長)渡邉英則さん(港北幼稚園 園長)

乳幼児期は失敗が許されています。できなくても何回も挑戦できる。遊びで友達関係などを学んでいく中で、苦手なこともチャレンジしていく。チャレンジしようとする力が大事だと思っています。

 

こちらの子どもが夢中になっていたのは、あらゆる物の重さを量って比べるという遊び。
この遊びは「どうして水に浮くものと沈むものがあるのか」という疑問から生まれたそうです。重さを比べたいという気持ちが芽生えることで、数字にも興味が沸き、それを記録するために文字を書きたいという欲求にもつながっていると言います。

仁慈保幼園 多摩川保育園

乳児にとって遊びこむ経験とは具体的にどのようなものでしょうか。
0歳から5歳の子どもたちが通う、東京都大田区にある「仁慈保幼園 多摩川保育園」に伺いました。

この園では、いつも水が流れていて、いつでも水に触れられる場所があります。

この1歳児の子は、カップに水を入れては石にかけたり、自分の手にかけたり、ジョウロに入れて上下に振ったり、それを何度となく繰り返しています。

一見、意味がなさそうなこの遊びに、大きな意味があると言います。

妹尾正教さん(仁慈保幼園 多摩川保育園 園長)妹尾正教さん(仁慈保幼園 多摩川保育園 園長)

五感を通して、いろんな感覚を自分に入れていきます。これをインプットと呼んでいます。ただ入れているのではなく「これはなんだろう? これは温かいのか? これはサラサラしている。一体これはなんだろう」というように、子どもであっても自問自答しています。それは、自分と向き合っていると言えるわけです。

 
水の出る勢いや重さ、冷たさなど、あらゆる情報を「感覚」としてインプットしているのです。そうした経験を重ねることで、例えば「冷たい」という言葉を知ったとき、実感が伴った意味をとらえることができます。

五感によるインプットは、0歳児から始まっています。

こちらは、ガラスで反射させた光の粒を使った遊びです。
ガラス自体に興味を持つ子、光に気づいて捕まえる子、手に光を映してみる子など、いろんな反応があると言います。

この遊びは、窓辺からさす太陽光に興味を示した子どもたちを見て、保育士同士の話し合いから生まれたそうです。

妹尾正教さん(仁慈保幼園 多摩川保育園 園長)妹尾正教さん(仁慈保幼園 多摩川保育園 園長)

子どもは、あらゆるものに向き合いながら、探求しています。だからこそ「学び」だと言っています。遊びの中で「もう一歩、もう一歩先へと物事を見ていく」ということをしています。
 

 

昔から子どもは遊びの中で必要な力を育ててきた

大豆生田啓友さん回答:大豆生田啓友さん

この幼稚園と保育園で実践していることは、かつての子どもたちが当たり前にしてきたことです。いろんなことに挑戦したり、何かをやりとげようとしたり。子どもは、その中で非認知的能力を育んできました。
そのことを保証できる保育園・幼稚園がある。こんなにありがたいことはありません。

遊びを大事にするのは「のびのび保育なのね」と言われますが、のびのびで表現するものとは違うとわかっていただけるかと思います。

遊びの中の経験・感覚の積み重ねが「学習」であり「発達」

汐見稔幸さん回答:汐見稔幸さん

例えば、水道の蛇口で遊ぶとき、そこには初めての経験がたくさんあります。これだけ水が貯まると重くなる、重くなったら持ち方を変えないといけない、季節によって水の温度が違うなどです。それらがすべて頭の中にインプットされていきます。つまり、脳に回路ができていくわけです。

脳に新しい回路ができることを「学習する」と言い、回路が組み合わさり、ひとつのシステムとなっていつでも通用するようになったとき「発達する」と言っています。
いろんな経験は、必ず新しい知識やスキルを刻み込んでいきます。そのような経験が遊びの中にはたくさんあるわけです。

やりたいことをやりながら、長く続けていくと、そこには実に豊かな学びがあります。そのようなことを積み重ねることで、考える力や工夫する力が育まれます。

 

遊びを大事にする場合、保育士さんや先生は何をしてあげてるんですか?

子どもが遊びこむには、先生方の仕掛けがたくさん必要

大豆生田啓友さん回答:大豆生田啓友さん

普通の親からすると「遊んでいるだけ」に見えるかもしれません。しかし、子どもが本気で遊びこむには、先生たちによる裏側の仕掛けがたくさん必要になります。


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