適量、硬さ、食べない~離乳食の不安~

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第2回 適量、硬さ、食べない~離乳食の不安~

img_vol2_01はじめての離乳食、お子さんがなかなか食べてくれないとママは不安になりますよね。
どうやったらちゃんと食べてくれるのか、どれくらい食べれば適量なのか、食材はどれくらいの硬さにすれば良いのかなど、わからないことが多いと思います。

NHK育児番組「すくすく子育て」の解説から、「離乳食の不安」について確認しましょう。解説をいただいたのは、こちらの方々です。
日沼千尋さん (東京女子医科大学 看護学部教授)
太田百合子さん(こどもの城小児保健クリニック 管理栄養士)
若盛清美さん(こどもの森保育園園長)

ぜんぜん食べない!どうしたら食べてくれる?

img_vol2_02離乳食を始めたのに、なかなか離乳食を食べてくれないと、ママは心配になりますよね。
離乳食に関しては、いろいろな人に相談してもそれぞれ違うことを言われることも多く、工夫をしても効果無しという場合もあると思います。離乳食を食べさせるコツなどあるのでしょうか。

【試しながら子どもに合う方法を探して。】
(解説:日沼千尋さん)
相談するたびに違うことをアドバイスされるのは、そもそも「答えはひとつではない」からだと思います。食べない時期があったとしても、子どもは必ず最後には帳尻を合わせるものです。ある時期になれば食べるようになるので、長い目で見守ってあげてください。まずは子どもが元気で遊べているかを見てあげてください。身長や体重の成長度合いもおおよそ平均値の範囲内なのであれば、子どもが自然に食べるようになるまで少し待ってみてもいいと思います。
【今は離乳食のならし期間。「見せながら誘う」テクニックも使って。】
(解説:太田百合子さん)
離乳食を始めた子どもへの授乳は、平均的には5回くらい。でも子どもが欲しがるならもっとあげても問題ありません。最初は1回から始め、1ヶ月ぐらいしたら2回食と徐々に回数を増やしますが、まだ栄養の中心は母乳です。この時期はならし期間だと考えるといいですね。離乳食の食べさせ方については、料理を赤ちゃんに見せながら誘うようにしてみてください。まず料理の熱さや硬さ、味を見るためにお母さんが赤ちゃんの目の前でひと口食べてみせましょう。次に、料理を正面から赤ちゃんに見せて、笑顔で声かけしながら食べさせます。このときスプーンを口に押し込むのではなく、逆に少し引くようにして、赤ちゃんから口を近づけてくるのを待つようにしてみましょう。

適量はどれくらい?

img_vol2_03離乳食をなかなか食べてくれない子も、逆にちゃんと離乳食も食べるのにミルクも欲しがる子も、どちらも「どれくらいが適量」なのか不安になることがあると思います。
離乳食の「適量」について確認してみましょう。

『2回食のうちは量は気にせず、「食べ慣れる」ことを目標に。』
(解説:太田百合子さん)
食べる量は個人差がとても大きく、小柄でもたくさん食べる子がいれば、大柄でも少ししか食べない子もいて、一概に適量は決められません。特に2回食のうちはまだ母乳やミルクが栄養の大半を占めるので、この時期は量を気にするよりもいろんなものを「食べ慣れる」ことが優先です。子どもが母乳やミルクが好きなら離乳食はほんの少しでもかまわないし、もっと食べたそうなら少し余分にあげるなど、そのつど調整しましょう。また赤ちゃんは満腹を感じないので、中にはかなりたくさん食べる子もいます。ただ、多少太ってしまっても、赤ちゃん時代の肥満は大人になってからの肥満には直結しないので心配ありません。1歳半から2歳くらいになると食欲も安定してきます。
『月齢にはこだわらず、そのときどきの子どもの様子に合わせて。』
(解説:若盛清美さん)
保育園ではいろんな子どもがいるので、4月の入園時には、まず家でふだん食べているものを持ってきて見せてもらいます。それをヒントに、園でも同じくらいの量をあげることから始めて、よく食べる子には少しずつ量を増やすなど、月齢にはあまりこだわらずにひとりひとりに合わせた食事を出しています。たくさん食べてぽっちゃりしても、運動量が増えると自然に引き締まってきますので大丈夫です。

大きさや硬さは?

img_vol2_04ようやく歯が生え始めた頃などは、どれくらいの硬さのものが食べられるのか不安になることがあると思います。大きなものも噛まずに飲み込んだりすると、ちょっと心配になりますよね。離乳食の食材の大きさ・硬さについて解説します。

『のどにつかえない程度のサイズに』
(解説:若盛清美さん)
子どもが大きいものをかまずに口いっぱいに頬ばるのはよくあることです。手づかみ食べの時期は、ある程度の大きさがあったほうがつかみやすいですが、あまりにも大きいとのどにつかえてしまう可能性もあるので、無理がない程度のサイズにしてあげたほうがいいでしょう。
『前歯でかじりやすいスティック状のものをメニューに加えて』
(解説:太田百合子さん)
1歳半くらいまでの子どもは、口に入る大きさの食べ物ならだいたい丸ごと口に入れてしまいます。口の中がいっぱいになって、どうしていいかわからず口から一旦出し、もう一度食べてみたり。そうしたことを繰り返して徐々にひと口の量をおぼえ、手づかみ食べも上達します。手でつかみやすいスティック状のものをメニューに加えると、前歯でかじる練習にもなっていいと思います。また離乳食の硬さ・大きさの目安は歯だけでなく舌の動きにも注目。舌の発達によって食べられるものが増えてきます。最初は舌を前後だけ、次に上下、そして左右に、と少しずつ動かせるようになるので、それぞれの段階に合わせてサイズやつぶせるようなメニューを工夫するといいでしょう。

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野菜嫌いの克服法

img_vol2_06はじめての離乳食、野菜を嫌うお子さんも多いようです。
野菜と分かると吐き出してしまうようなケースでは、どのような克服法があるのでしょうか。

『好き嫌いは成長と共に変わります。』
(解説:日沼千尋さん)
しばらくは離乳食だけで栄養をとるわけではありませんし、好き嫌いは成長と共に変わっていくものなので、気長に構えて様子を見てください。嫌いなものを他の好きな食材と混ぜて食べさせることについては、子どもが気づかない程度であれば問題ありませんが、好きなものも嫌いになってしまう可能性があるので注意が必要です。
『青菜はバターなどでコクを出して食べやすく。』
(解説:太田百合子さん)
緑黄色野菜、特に緑の野菜には苦みやえぐみがあるので、子どもはもともと苦手です。10か月くらいになれば油分もある程度は消化できますので、たとえばバターで炒めてコクを出してあげると、子どもにも食べやすくなると思います。バターに塩分があっても、他に味つけで塩を加えたりしなければ問題ありません。またみそ汁もそろそろ大丈夫だと思いますので、具として青菜を使ってみたらいかがでしょう。

今回の特集は、いかがでしたでしょうか。
離乳食の不安が少しでも解消したら嬉しいです。


子どもの食と歯特集

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