体調が悪いときの食事(2)下痢・おう吐

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2023/12/18

出典:まいにちスクスク[放送日]2023/12/16[再放送]2023/12/19

熱があったり、食欲がなかったり。子どもの体調が悪いとき、何を食べさせればいいのでしょうか。また、食べさせないほうがいいものはあるのでしょうか。病気のときの食事にくわしい、細田明美さん(管理栄養士)に教えてもらいます。
今回は、下痢やおう吐など、おなかの調子が悪いときの食事です。

講師:
細田明美(東京医療保健大学 講師/管理栄養士)

医療監修:草川功(聖路加国際病院 小児科 医長)

下痢・おう吐のときのポイント

下痢もおう吐も急速に水分を失うので、いちばん気をつけたいのは脱水症状です。

おう吐がひどいときは、何を食べても吐き戻してしまうので、水も飲めません。無理にあげるとさらに吐き気をもよおすので様子を見ましょう。母乳やミルクは飲めるなら続けて構いませんが、1回の量を少なくして、回数を増やしてこまめに与えてください。

ひどい吐き気が落ち着いてきたら、スプーン1杯から水分を与え、様子を見ながら少しずつ増やします。失われたナトリウムやカリウムの補給もでき、水分も素早く吸収できる経口補水液や、子ども用のイオン飲料を飲ませるとよいでしょう。

食べないほうがよいもの

下痢・おう吐のとき、胃腸に負担がかかるものは避けましょう。例えば、脂肪分や糖分の多いもの、冷たいものです。
ごぼう、たけのこ、豆類、海藻、きのこ、かまぼこなど、食物繊維が多いものやかたいものは消化が悪いので避けたほうがよいでしょう。

下痢のときは、さつまいも、納豆、かんきつ系の果物やジュース、牛乳やヨーグルトのような乳製品など、腸の動きが活発になるものを避けます。

おう吐がひどいときは、かんきつ系の果物やジュース(りんご以外)、酸味の強いものや乳製品、粉っぽいもの、かたいものは、吐き気を誘うので避けてください。

下痢のときの食事

下痢のとき、与えるものの目安は、便の状態と同じくらいのかたさにすることです。流動食からはじめて、おなかを刺激しない、消化吸収がよいものがいいでしょう。

りんごやにんじんに含まれるペクチンは、便をまとめる働きがあります。りんごのすりおろしを最初にあげるのもいいですね。

手作り経口補水液

経口補水液は手作りできます。量の配分を守って作り、早めに飲みきるようにしてください。

<材料(作りやすい分量)>

1リットル
砂糖
40g
3g
レモン汁
少々

<作り方>

水に、塩、砂糖、香りづけにレモン汁を少々加え、よく混ぜて溶かせばできあがりです。

りんごのくず煮

りんごのすりおろしに、炭水化物であるくず粉を加えたくず煮です。

<材料(1人分)>

りんご
1/4個(60g)
大さじ2
砂糖
小さじ1/2
水溶きくず粉(かたくり粉)
くず粉(またはかたくり粉)
小さじ2/3
小さじ2

※かたくり粉でも作れますが、くず粉を使うとより体が温まります。

<作り方>

りんごの皮をむき、芯を取り除いて、すりおろします。

すりおろしたりんごと水と砂糖を混ぜて、弱火で煮ます。

水溶きくず粉(小さじ2の水で溶いたくず粉)を加え、透明になるまでよく混ぜたら火を止めます。

これで、できあがりです。

できたてはとても熱いので、必ず冷ましてから食べさせてください。食感が欲しいときには、りんごを角切りにするのもいいですね。

くずは、体を温める作用があり、炭水化物なのでエネルギーも補給できます。下痢・おう吐以外にも、かぜの引き始めや熱があるとき、食欲がないときなど、さまざまな症状のときに大活躍します。

野菜とりんごのスープ

りんごと野菜を合わせることで、さらにビタミンをプラスできます。

<材料(1人分)>

りんご
1/4個(60g)
にんじん
5mm厚さ
キャベツ
葉先1/4枚
100ml

<作り方>

りんごの皮をむき、芯を取り除いて、すりおろします。
皮をむいたにんじんとキャベツを、5㎜角に切ります。

鍋に、にんじん・キャベツ・りんごのすりおろしを入れます。

水を加えて火にかけ、煮立ったら弱火にします。にんじん・キャベツがやわらかくなるまで煮たら、できあがりです。

アレンジ・レシピ

離乳食の段階の場合は、野菜をみじん切りにし、最後に水溶きかたくり粉でとろみをつけましょう。にんじん・キャベツのほかに、白菜(葉先)、かぶ、大根などを組み合わせてもいいですね。

高野豆腐

高野豆腐は、たんぱく質やカルシウムなど、ミネラルが豊富に含まれており、消化もよい便利な保存食です。

例えば、すりおろすといろいろな料理や離乳食にも使えます。

耐熱容器にすりおろした高野豆腐と同量ぐらいの水を入れてよく混ぜます。

電子レンジ(600W)で30秒加熱します。
※電子レンジ機種によって時間を調整してください。鍋で加熱するときは、焦げつかないよう気をつけてください。

ふわふわになって食べやすくなりますよ。
水の代わりにだし汁や野菜スープを使うと、うまみが出ておいしくなります。

高野豆腐とかぶの煮物

固形のものが食べられるなら、 高野豆腐で煮物を作ってみましょう。

<材料(作りやすい分量)>

高野豆腐
1枚
かぶ
1個
だし汁
100ml
しょうゆ
小さじ1/2
みりん
大さじ1/2
ひとつまみ

<作り方>

高野豆腐にお湯(熱湯)をかけ、やわらかく戻るまでしばらくつけ、やわらかく戻ったら水気を絞ります。
※やけどに注意しましょう。熱い場合は冷水にさらして冷ましてください。

高野豆腐を食べやすい大きさに切ります。
かぶは、葉の部分を取り除き、皮をむいて角切りにします。

鍋にだし汁とかぶを入れ、煮立ったら弱火にします。

高野豆腐と調味料(しょうゆ・みりん・塩)を加えて、弱火で煮ます。
※高野豆腐は煮崩れしやすいので、アルミはくなどで落とし蓋をしましょう。

かぶがやわらかくなったら、できあがりです。
かぶは早くやわらかくなるので、時間がないときでも手早く作れますよ。

はんぺん入りにゅうめん

やさしい口当たりのはんぺんと、すぐに煮上がるそうめんを合わせたやわらかメニューです。

<材料(1人分)>

そうめん(乾)
20g
はんぺん
20g
大根・にんじん・小松菜(葉先)
各10g
だし汁
250ml
しょうゆ
小さじ1/4

<作り方>

はんぺんは1cmの角切り、大根・にんじんは薄いいちょう切り、小松菜は長さ1cmに切ります。

そうめんは食べやすい長さに折って、やわらかくゆでて流水で洗います。
※表示時間より長めにゆでましょう。

だし汁と野菜を火にかけて、煮立ったら弱火にします。
野菜がやわらかくなったら、はんぺんを加え、しょうゆで味をととのえたらできあがりです。


胃腸が弱っているときは、無理して食べさせず、水分補給をしながら、おなかにやさしいものを少しずつ食べさせて、もとの食事に戻しましょう。


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