どこまで見守って、どこから口出しをするべき?

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2017/01/14

出典:すくすく子育て[放送日]2017/01/14[再放送]2017/01/20

「これでいいのかな?」と思いながらも、子どもの行動に口を出してしまい、悩んでいます。
特に食事の際、食べ遊びがひどいため、常に監視しながら以下のような口出しをしてしまいます。
「お顔、前に出して食べて」
「ゆっくり食べなよ、どうしてそんなにずっと動いているの?」
「ふざけて食べないで。何回も言っているよ。」
「ちょっとそれ早く食べなよ」
「のどつっかえちゃうからお水飲みなよ」
私が注意しないと、将来困るのはこの子たちだと思うと、どんどん言ってしまいます。
これがしつけなのか、口出しし過ぎなのか、境界がわかりません。
 
我が家には2人の息子がいますが、上の子は幼稚園に通うようになり社会が広がっていく時期です。そんな中、私が口を出し過ぎているせいで、「自分で考えて自発的に行動ができなくなるのではないか」「私の指示が無いと動けなくなってしまうのではないか」ということを不安に思っています。
(4歳の男の子と1歳4か月の男の子をもつママより)

言葉よりも、ママの食事の仕方を子どもの見本に

井桁 容子さん回答:井桁 容子さん

ママの食べ方は子どもにとって見本になります。子どもが上手に食べられるように大人も一緒に食べましょう。そうすると、子どもの食事中の言葉も減り、食べ方のマナーの見本にもなります。
例えば、「食べくずはあんな風に集めるんだな」「スープはああいう風にして飲むんだな」など親の食べ方を見て、子どもは学んでいきます。一緒に食べて“見本となる食べ方を見せる”、それだけで十分ですよ。
私たち保育者も、子どもについ余計な口を出してしまうことを避けるために、食べている子どもを見るのではなく、一緒に食べるようにしています。“食べさせる人”と、“食べさせられる人”のような構図はあまりよくありません。食事は文化なので、おいしく楽しく食べる空気を作ることが大事です。

 

子どもが自分で行動を選択できる言い方に

汐見 稔幸さん回答:汐見 稔幸さん

口数は性格にもよりますし、多い人もいれば少ない人もいます。そのため、子どもに口出しする量が多いこと自体は問題ではありません。“量”よりも、言っている“中身”が重要です。
「指示」「命令」「禁止」の言葉が多いと、子どもは自分で考えて、どっちにしようかなと考える余地がありません。そのため、子どもは反発したり、ガマンするしかなくなるのです。このことが、親と子でいたちごっこのようになっている原因と考えられます。
例えば、「あと5分?」「あと10分?」という風に「提案」「依頼」するかたちで子どもに聞いてあげると、子どもは自分で選んで答えます。このように、子どもが自分で考えて選択すれば、意外と子どもは言うことを聞きます。
「指示」「命令」「禁止」から、「提案」「依頼」に言い方を変えることは、慣れるまでは時間がかかると思います。しかし、時間をかけてでも変えていくと、子どもは自分に任されることが増えていくので、親の言うことを聞くことが多くなります。

 

専門家さんのアドバイスを実践!

口出しをしないで見守る

今回の質問者のママに、おやつの時間に15分間、口出しをせずに子どもを見守ってもらいました。
ママは、子どもがお菓子で遊んだり、おしゃべりしながら食べてもグッとガマンです。

~実践後のママの感想~
イライラして「何か言いたい!」と思いましたが、「言っちゃダメだ」とこらえながら見ていました。
普段から、「きっと子どもはできない」という先入観を持って見ているので、「言わなきゃ」と思って対応しているところがあります。しかし、「子どもはできないことがあって当たり前」として見守っていれば、子どもも自分で考えて行動し、できるようになるんだなと思いました。
途中の遊び食べはしょうがないと目をつぶれば、「自分でやるんだ」と気づき、反省しました。
 

口出しをせずに子どもができることは見守ってあげて

汐見 稔幸さん回答:汐見 稔幸さん

実践したことで、「黙って見ていれば子どもは意外と自分でやる」という、とても大切なことを発見されたと思います。
子どもができないことを、親が先取りしてやってしまうと、子どもはできるようにはなります。しかし、「自分で一生懸命やって、やれた!」という実感は少なくなります。
親が黙って見ていても、子どもが自力で身につけられるものはあるので、見守ってあげたほうが親もラクです。

 

見守りながら、子どもの気持ちに思いをめぐらして

井桁 容子さん回答:井桁 容子さん

VTRの中で、お菓子を山のような形にして遊んでいる姿が見受けられました。こういった行動を、「あんなことやって!」ととらえるのではなく、「木の枝のように見えて、面白い形になると考えたのかな」と子どもの気持ちになってとらえれば、「この子はやわらかい頭をしているんだな」という見方をすることもできます。
口出しをせずに見守ることを、“ガマン”ではなく、“子どもの気持ちに思いをめぐらす時間”と考えるのがオススメです。
「口を出すのをガマンする」と思うと苦痛ですが、「この子はどんな気持ちでやっているのかな」と考えれば、退屈しなくなります。ぜひ試してみてください。


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