魚卵・木の実類などの食物アレルギーはどうしたらいい?

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2024/03/02

出典:すくすく子育て[放送日]2024/03/02[再放送]2024/03/07

3大アレルゲン(鶏卵・牛乳・小麦)以外の食物アレルギーの場合はどうなのでしょうか。魚卵・木の実類のアレルギーがある子のママに話を聞きました。

長女(5歳)は、イクラとクルミの食物アレルギーと診断されています。3歳のときに初めてイクラのおすしを食べたとき、すぐに「気持ち悪い」と言い、おう吐し、湿疹が出て、顔が腫れてしまいました。また、4歳のときにクルミが入ったお菓子を食べたら、「口の中がかゆい」と言い、口に手を入れるほどでした。おう吐はしないものの、喉のかゆみ、顔の腫れ、湿疹などの症状が出るようになりました。
長女が食べたがらないこともあり、その後イクラとクルミは口にしていません。この食物アレルギーは、いつか治るのでしょうか。
(お子さん5歳・9か月のママ)

3大アレルゲン以外の食物アレルギーは治りにくい

回答:今井孝成さん

3大アレルゲン(鶏卵・牛乳・小麦)は治ることが多いのですが、残念ながらそれ以外の食品は、原則治らない・治りにくいと考えたほうがいいでしょう。例えば、ピーナツアレルギーがたくさんみられるアメリカでの研究報告では、ピーナツアレルギーが治るのは10%程度といわれています。おそらく、ほかの食品に関しても、同程度だと考えられます。3大アレルゲン以外の食物アレルギーの診断が確定したら、治ることはあまり期待しないで生活したほうがいいと思います。

年齢別・初めて食物アレルギーを発症したときの原因食物

1~2歳でイクラなどの魚卵類、3歳前後で木の実類による食物アレルギーの発症が増えるといいます。

年齢別・初めて食物アレルギーを発症したときの原因食物
※出典:今井孝成ほか 消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」、平成29(2017)年即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果報告アレルギー2020;69:701-5より一部改変

鶏卵・牛乳・小麦以外の食物アレルギーの場合、原因となる食べ物を食べないことが、現時点では基本的な対応となります。
ただ、クルミなどの木の実類のアレルギーの場合、鶏卵・牛乳・小麦と同じように食べる量を徐々に増やしていく治療「経口免疫療法」が、一部の医療機関では始まっているといいます。自己判断で食べるのは大変危険なので、必ず専門医と一緒に慎重に進めましょう。
※木の実(ナッツ)類のアレルギーの「経口免疫療法」を行っている医療機関は限られています

子どもの理解度にあわせて教える

食物アレルギーで食べられないものがある場合、子どもの理解度にあわせて、自分でも判断できるように教えていくことも大切です。

とはいえ、間違って食べてしまうこともありえます。もしも、重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしたら、救急車を呼び、すぐに受診してください。

<重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)>
・ぐったりしている
・ゼイゼイしている
・せきが止まらない
・何度もおう吐するなど

一刻を争うような場合は、アドレナリン自己注射薬(エピペン)を使う

今井孝成さん

アナフィラキシーで一刻を争うような場合には、「アドレナリン自己注射薬(エピペン)」があります。



アドレナリンという薬が充填されています。これを使って医療機関を受診する時間を稼ぐことが求められる子どももいるのです。重篤な患者に処方されるもので、すべての人が持つ必要はありません。



使い方は簡単です。安全キャップを取り、しっかり握りしめて、太ももの外側辺りに当てて押し込みます。薬液が速やかに注射され、秒単位で効果が出てきます。
子どもが重篤な症状を呈したことがある場合は、主治医に、子どもがエピペンを持たなくていいのかを相談するといいでしょう。

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