新型コロナウイルスワクチンの子どもへの接種について知りたい

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2023/01/14

出典:すくすく子育て[放送日]2023/01/14[再放送]2023/01/19

新型コロナウイルスのワクチンが、6か月~4歳児も対象になりましたが、そのメリットとデメリットが知りたいです。
(お子さん8か月のママ)

メリットは発症予防と重症化予防、デメリットは副反応だが実際に感染する場合より程度・頻度が低い

回答:松永展明さん

メリットは、発症予防と重症化予防です。乳幼児に対しても大規模な臨床試験が実施されていて、発症予防効果は70%程度といわれています(6か月~5歳未満児対象の治験 2022年8月時点)。また、子どもの新型コロナ感染者の95%は軽症とされていますが、子どもの感染数増加に比例して、脳症・心筋炎などの重症化例・死亡例が増加しています。特に、重い後遺症のひとつで、心不全などもでてくる「小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C ミスシー)」は、ワクチンによって90%以上防ぐことができます。

デメリットは副反応です。アメリカでは、生後6か月~5歳未満の子どもに対して、2022年8月21日までに約89万回の接種が実施されています。軽度の副反応は、腫れるなどの局所反応が20%、発熱などの全身反応が55%ほどといわれています。まれに、重い副反応として、心筋炎や、発熱に伴うけいれんなどがありますが、感染した場合より程度が低く、頻度も非常に低いといわれています。日本小児科学会はメリットがデメリットを上回るとして、子どもの接種を推奨する考えを示しています。


ワクチン接種についての選択は尊重されるべき

回答:松永展明さん

実際に接種するかどうかは、メリットとデメリット、感染状況などのさまざまな要素を考えて、最終的に親が判断することになります。それぞれの選択は、尊重されるべきだと考えています。
新しいタイプのワクチンだと聞いていますが、どういうものでしょうか。長期的な影響も心配です。

新型コロナウイルスワクチンは、たんぱく質の設計図(mRNA)を使ったもの

回答:松永展明さん

ワクチンには次のような種類があります。



「生ワクチン」は、生きたウイルスや細菌を「弱毒化」したもので作られます。「不活化ワクチン」は、ウイルスや菌をバラバラにして、完全に感染力をなくした状態にしたものを使います。「mRNA(メッセンジャーアールエヌエー)ワクチン」は、たんぱく質の設計図であるmRNAを使います。新型コロナウイルスのワクチンは、mRNAワクチンです。



mRNAが接種されると、その設計図をもとに体の中にたんぱく質が作られます。そのたんぱく質を標的に、免疫細胞が抗体を作ります。本物のウイルスが侵入したとき、免疫の記憶や抗体が働いて、感染や重症化を防ぐ仕組みになっています。接種されたmRNAは、数日で分解されます。細胞の核の中に入ることはできないので、遺伝子に影響を与えることはないとされています。

mRNAワクチンは、1990年代から研究されている

回答:松永展明さん

mRNAワクチンは、1990年代から研究されてきました。新型インフルエンザやジカ熱などの新興感染症に関して研究が進んでいて、実用化の一歩手前だったのです。そんなときに、パンデミックをきっかけに新型コロナウイルスに対して開発が進みました。
mRNAワクチンが臨床試験で最初に人に投与されたのは2006年で、16年ほどたっています。今のところ長期的な副反応は認められていないという報告もあります。ただし、接種した数は限られていて、広く使われたのは今回が初めてなので、多くの人数に接種したときの長期的な影響については、まだわかりません。
真偽のわからない情報も多く、調べれば調べるほど不安になります。どのように判断すればいいでしょうか?

「安全」と「安心」は似て非なるもの

回答:松永展明さん

「安全」と「安心」は似ているようで違うものです。「安全」は、エビデンス(科学的根拠)に基づくもので、新しいエビデンスや知見が出るまでは変わりません。
一方で、「安心」は適切な情報を得て自分で決めるものです。情報によって安心の度合いは変化しますが、中には悪意のある情報もあります。情報過多な状況で、保護者は一生懸命になればなるほど大変になると思いますが、信頼できる情報を探して、不安を減らしていくことが非常に大事だと思います。

踊らされるような情報からはいったん距離を置く

回答:阿真京子さん

このコロナ禍で子どもを産み、赤ちゃんを育てている方は、いろいろなことに対応しなければならず、大変な思いをされていると思います。その中で、大切な情報を得ることは大事なことです。
私が医療情報を発信する際に、特に気をつけていることが2つあります。ひとつは医学的・科学的に確かな情報であること。もうひとつは、人の不安をあおる情報になっていないことです。
ただ、そうではない情報もあります。例えば、わかりやすく「絶対に〇〇」と言い切る情報など、自分が踊らされてしまうようなものが飛び込んできたときは、いったん距離を置いて考えてみるといいと思います。

医師と信頼関係を築くことが大切

回答:阿真京子さん

医師も親も、子どもを助けたい・守りたいというゴールは同じです。目の前で子どもを診ている医師に直接質問して、信頼関係を築いていくことが大切だと思います。

そもそもワクチンってどんなもの?

予防接種のスケジュール、どうすればいい?

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