仕事も子育てもちゃんとしたい。どう折り合いをつければいい?

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2020/04/11

出典:すくすく子育て[放送日]2020/04/11[再放送]2020/04/18

職場復帰を控えた今、以前のように働けないのではないかと心配です。忙しいときは残業などでやりくりしていましたが、今後はそんな働き方ができなくなると思うと不安です。自分の好きな仕事で愛着もあります。自分の仕事は自分できちんとしたい、周りの人に迷惑をかけたくない。甘えることも性格的に慣れていません。復帰後、自分の働き方の理想をかなえられないと思うとつらいです。
仕事も子育てもちゃんとしたい、どう折り合いをつければいいのでしょうか。
(7か月 女の子のママ)

自分の看板を「育児中心」に変えよう

回答:汐見稔幸さん

私の子育ての経験ですが、子どもが3人になったとき、基本的にパートナーと同じことをやろうと決意しました。大学の同僚にも「夜の会議は一切出ません」と宣言したものです。それでも、仕事に対して葛藤がありました。でも、客観的に仕事と育児の優先度を考えれば、今一番大事なのは育児なんです。今しかできないことなんです。
こういうときは、仕事の質を考えて集中したり、何かを工夫するしかありません。私は、それを「看板を変えよう」という言い方をしています。これまでは「仕事中心」だった看板を、「育児中心」に変えて、周りの人にもはっきりと示すのです。そうしないと、なかなか葛藤は解消できないと思います。

男性も看板を変えることに意味がある

回答:大日向雅美さん

男性の汐見さんが「看板を変える大切さ」を言ってくださったことは、とても意味があると思います。これまで一般的に、女性だけが看板の掛けかえをさせられてきました。「子どもがいるでしょ」「仕事はいつでもできるでしょ」「母親は今しかできないでしょ」と言われ、多くの女性が仕事をリタイアしてきました。そして、子育てがひと段落しても、帰れる場所がない、全てが奪われて、あったとしても正規の仕事じゃない。女性は、ずっとそのような境遇にいました。
看板を変えることは大事なことです。でも、女性だけでなく、男性である夫も看板を変えることがとても大事なことなんです。

「甘える」ことは「大人になる」こと

回答:大日向雅美さん

「甘えることに慣れていない」とのことでしたが、私は「甘える」ことは「大人になる」ことだと思います。
全て自分で抱えることは、体は大変ですが、ある意味、心は楽なのです。甘えることには、相手への感謝が欠かせません。「助けてもらえますか?」と自分の弱さを見せることでもある。「お言葉に甘えさせていただきます」という言葉は、「本当は自分の仕事で、甘えないほうがいいとわかっている、それでも助けていただきたい」という、成熟したパーソナリティのあらわれです。甘えられる自分は大人だと思ったほうがいいかもしれません。
親の介護もあって時短勤務をしています。理解のある職場ですが、みんなより遅く来て、みんなの仕事中に帰ることになるので、申し訳ないと感じて心が痛みます。
(3歳 男の子のママ)

たゆたえども沈まず

回答:大日向雅美さん

「たゆたえども沈まず」という言葉があります。パリの市庁舎に掲げられている、荒波に揺れる帆船の絵にそえられている言葉です。いろいろな戦時に揺れはしたが、我々は絶対に沈まない――そんなパリ市民の意思の象徴なのです。
子育てと介護のダブルケアは本当に大変です。大変なときには、じっくりと、沈まないようにさえしていればいい。時には、波にまかせることも大事です。そこで、いろいろなものを得られるかもしれません。ひとりでなくてもいい、みんなで手を携えて乗り切っていきましょう。これ以上頑張らなくてもいい、ただ沈まないことを考えてください。

働きながら家事をきちんとできるか心配……

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