子育ての環境づくり(1)食事の環境

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2024/03/04

出典:まいにちスクスク[放送日]2024/03/01[再放送]2024/03/04

子どもたちが生活する保育園には、学びや育ちを支える工夫がたくさんあります。保育室の環境づくりから、家庭でもまねできる方法を教えてもらいました。
今回は、食事の環境です。

講師:
鈴木八朗(くらき永田保育園 園長)
子どもたちは「自分でやりたい」という思いを持っています。そのために環境をつくってあげることが大切です。

食事の前に

まずは1歳児クラスで、園での食事の様子を見せてもらいました。

食事の時間になると、子どもたちが自分でエプロンをつけています。

ひみつは、このエプロン。テープやボタンでとめるタイプが一般的ですが、この園ではフェイスタオルにゴムを通したものを使っています。自分でかぶったり、とったりすることが簡単にできるんです。

0歳児クラスでも同じタイプのエプロンを使います。先生がエプロンのゴムを広げると、自分から頭を差し出してくれました。

0歳ごろは、最初は「エプロンつけさせてね」と声をかけて、つけてあげます。そうやって毎回つけていると、エプロンを見せるだけで「ごはんだ」とわかるようになり、エプロンに頭を出すような協力動作が出てきます。

1歳ごろでは、エプロンを見せるだけで、自分で手に持ってかぶるようになります。エプロンをつける・とる動きは、洋服と同じような動作で、着替えの練習にもなります。

食事に集中する工夫

エプロンをつけたらごはんを盛りつけますが、その前に子どもたちにおひつの中のごはんを見せます。

子どもたちは、お皿を指さしたり、足をパタパタさせたり、待ちきれない様子です。これは、食事の集中力を高める工夫なんです。

これが、子どもたちにとって「これから楽しい食事が始まる」という儀式になるのです。「あったかいごはんだよ」といった小さなやりとりが、食べ物への興味につながり、食事の集中力が高まります。

食事中の工夫

ほかにも、集中力を保つ工夫があります。食前に、ティッシュや手拭きなど、食事のお世話に必要なものをすべて準備しておくのです。

例えば、スプーンからごはんをこぼしてしまったとき、ティッシュが手元にあるので、すぐに拭きとれます。ティッシュをとるために、席を立ったりはしません。

食事を介助する人が席を立っていなくなると、子どもは「もっと楽しいことがあるのかな?」と気になってしまいます。食事がはじまったら、大人は立ち歩かないことが大切なのです。

離乳食期の0歳児の場合は、哺乳瓶も事前に準備しておきます。

食べ終わってすぐ授乳できるので、子どもの集中力が保たれます。


食事に集中するには、正しい姿勢で食べることが大切です。ポイントは、かかとが地面についていること、おなかと机が近すぎないこと、ひじを動かしやすい高さにすること。

これら3つのポイントを参考に、足台で調節しています。


お皿は、底のヘリが直角なものを使います。スプーンをヘリにあてれば簡単にすくえるので、「自分で食べたい」という子どもの意欲をサポートできます。

園での食事の工夫を、ぜひ家庭でも参考にしてみてください。


まいにちスクスク「子育ての環境づくり」の番組記事

まいにちスクスク
 
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