もう一度聞きたい! 専門家のことば

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2020/06/06

出典:すくすく子育て[放送日]2020/06/06[再放送]2020/06/13

さまざまな子育ての悩みについて、専門家と共に考えてきた「すくすく子育て」。今回は、これまでの専門家のアドバイスからよりすぐりの“ことば”を紹介します。
さらに、かわいくてクスっと笑える「くすくす子育て」のコーナーから、子どもの不思議な行動についてお話を伺いました。

専門家:
柴田愛子(保育施設代表)
大日向雅美(恵泉女学園大学 学長/発達心理学)
福井聖子(大阪府小児救急電話相談事務所長/小児科専門医)
宮里暁美(お茶の水女子大学 教授/保育学)
久保山茂樹(国立特別支援教育総合研究所 上席総括研究員/臨床発達心理士)
河邉貴子(聖心女子大学 教授/幼児教育学)
市川香織(東京情報大学 准教授/助産師)
遠藤利彦(東京大学大学院 教授/発達心理学)
榊原洋一(お茶の水女子大学 名誉教授/小児科医)

どこから子どもの心を開くか、観察するしかない

まずは「どうする? 子どもの友だちづくり」の回より、保育施設代表で、40年以上子どもたちを見守ってきた柴田愛子さん。「知らない子がいると一緒に遊べない」というお悩みへのアドバイスです。

3歳半の娘がいます。家族の中では楽しそうに遊びますが、公園など外では知らない子がいると一緒に遊べません。他の子がいると急に静かになったり、「おうちに帰る」と言ったりします。このままで大丈夫なのか悩んでいます。
(3歳6か月 女の子のママ)
柴田愛子さん(保育施設代表)

時期にもよりますが、遊びに興味がある子と、人に興味がある子がいます。今、お子さんが何に興味を持っているかをよく見てあげてください。自分が興味を持ったことを自分のペースでやりたいのではないかと思います。
新しい場所に行って知らない人がいると、誰でも少し萎縮してしまいますね。大人だってそうです。そういう時は、何に興味があるのかな、どこから心を開く隙間を作っていこうかな、と観察するしかありません。
公園に行くと、親は、「せっかく来たのだから遊んでほしい」「滑り台をしてほしい」などと思い、子どもが動き出す前に声をかけてしまいます。その気持ちもよくわかります。ですが、子どもは自分なりに安心できて初めて、ようやく一歩を踏み出すので、そのためにはある程度の時間が必要です。表情や体が硬い間は、遊びに誘われるのも嫌がります。楽しそうな表情になる瞬間を見逃さず、そのときに少しはたらきかけてみるといいかもしれません

反省すべきは周りの大人。親がなっていないと思わないで

続いては「子連れ外出の不安」の回から、恵泉女学園大学学長、ママの心理にもくわしい大日向雅美さん。「外出中に困ったとき、0歳の息子をスマートフォンであやしていい?」というお悩みへのアドバイスです。

6か月の息子と外出する際、泣きやませるにはスマートフォンが一番効果的だと感じています。でも、スマホを渡していいのかということや、依存してしまうとどうなるのかなどが心配です。「0歳の子にスマートフォンを持たせている」と非難されるようで、周囲の目も気になります。
(6か月 男の子のママ)
大日向雅美さん(恵泉女学園大学 学長/発達心理学)

ご質問をうかがって、反省すべきは私たち周囲の大人だと思いました。スマホを見せているママを、周囲はそんな目で見ていると、ママたちは感じているわけです。
電車では、大人はみんなスマホを見ていますよね。それなのに、ママが子どもに見せると、「しつけができていない」「自分であやさないでスマホに任せて」なんて思うのは、もうやめましょうと、この機会に伝えたいですね。周りの人たちがもしそう思っているのだとしたら、その人自身がまずスマホをやめて、子どもをあやせばいいと思います。
そうじゃない人も一部にいらっしゃるかもしれませんが、ママもパパも「苦肉の策」でスマホを与えているわけですから。

発熱したときは、熱の高さではなく全身状態がポイント

続いては「子どもが病気! 家でのケアは?」の回から、小児科専門医で、小児救急電話相談「#8000」にも携わっている福井聖子さん。「子どもの発熱で、すぐに受診したほうがいいのはどんな状態?」という質問へのアドバイスです。

子どもが高熱を出したとき、夜間や休日、すぐに病院に行くべきかどうかは、どう判断すればよいのでしょうか。
(10か月 男の子のママ)
福井聖子さん(大阪府小児救急電話相談事務所長/小児科専門医)

熱が出る場合の多くは感染症によるものです。ウイルスやばい菌と戦うために体が免疫反応を起こすことで熱が出ます。基本的には、自分の免疫力で乗り越えられる病気が多いのですが、「病気に負けて」いるようなら医療の支えがいると考えてください。
自分の体力や免疫力で戦って、負けていない状態なら、お家のほうがゆっくり過ごせますから、熱が高いというだけで、夜間に慌てて受診しなくてもいいでしょう。
病気に負けていてすぐに受診が必要なのは、以下のような場合です。



4か月未満の場合は機嫌が見分けにくいので、おっぱいやミルクの飲み方や泣き声にも注意してください。泣き声が弱々しいときも心配です。また、「どこか変」という項目は、いつもと違って何かがおかしい、というママやパパの直感です。これはとても大事なポイントです。
熱の高さではなく、食べられるか、寝られるか、遊べるか、おしっこが出ているか、という全身状態が判断のポイントになります

子どもの「もうおしまいにする」は大事な意志表示

どう選ぶ? 子どもの絵本」の回から、お茶の水女子大学教授で、こども園の園長もつとめる宮里暁美さん。「子どもが絵本に興味を持ってくれない」というお悩みへのアドバイスです。

娘のために絵本をたくさん用意したのですが、好きな絵本が一冊もありません。絵本を読み聞かせようとしてもすぐにどこかへ行ってしまったり、ページをどんどんめくってしまったりします。どうしたら絵本に興味を持ってくれるのでしょうか?
(1歳9か月の女の子のママ)
宮里暁美さん(お茶の水女子大学 教授/保育学)

お子さんが、絵本の何を見ているのか、何を楽しんでいるのかをよく観察してみましょう。
そのページに描かれている絵そのものに興味があるのかもしれません。じっと見ているときに次のページに進んでしまうと面白くなくなってしまうこともあるのでしょう。物語を楽しんだり、登場人物の気持ちになったりできるようになるのはもう少し先かもしれませんね。
そのお子さんが「見ていないところ」ではなく「見ているところ」に注目すると、「へえ、それ面白いんだね」と、同じ気持ちでいることができ、その子と心がひとつになるような感じがしてくるはずです。
お気に入りのページはじっと見るけれど、違うページになると閉じるというのは、立派なことです。「もうおしまいにする」という大事な意思表示だと思います。そうしたら、「ああ、おしまいね」と言って、あそこのページが好きだったんだなと思って終わりにしましょう。

「今はじっくりと力を蓄えているんだ」と見守って

続いては「子どもの発達が気になったら」の回から、乳幼児健診や発達相談で多くの親子を支えてきた久保山茂樹さん。「子どもの発達が周りの子より少し遅れている」と感じるパパ・ママへのアドバイスです。

保育園のお友達に比べてスプーンやフォークを使うのが苦手です。もういっぽうの手が出てしまいます。階段では、手すりを使い、ゆっくりのぼりおりします。周りの子に比べて体の動かし方がぎこちなく、発達が遅れているのではと心配です。
(3歳10か月 女の子のママ)
久保山茂樹さん(国立特別支援教育総合研究所 上席総括研究員/臨床発達心理士)

お父さん、お母さんたちは、自分の子どものことを一生懸命考えているからこそ、できるはずのことができていないのではないかと気になって当然だと思います。親はどうしても、子どもが座るようになれば早くハイハイしないかな、ハイハイすればたっちしないかなと思うわけですが、実際には順調にいかないこともあります。子どもの成長は右肩上がりでまっすぐではなく、階段のように段階的になっています。そして、その階段をいつも順調にのぼっていくわけではなく、平らな部分が長いときもあります。
子どもは、その平らな部分で、一度身につけたことを、いろいろな形で試しながら力を蓄えています。力が蓄えられてくるとそこでようやく次の階段をのぼっていこうとするのです。発達の遅れが気になっても、あまり焦らず、「今はじっくり力を蓄えているんだな」と思って見守ってあげるといいですね。

ごっこ遊びはとても知的な活動

続いては「学びにつながる 遊びって?」の回から、幼稚園教諭の経験を持ち、子どもの遊びについて研究している河邉貴子さん。「子どもが、ひたすらヒーローごっこしている」というお悩みへのアドバイスです。

長男はヒーローごっこが大好きです。保育園から帰ってくるとすぐに「戦うから見てて!」と言って、戦っている様子をずっと見せられています。誰かとやりとりするわけでもなく、見えない敵とひとりでひたすら戦っています。本人はとても楽しそうですが、こんな遊びで大丈夫でしょうか。
(4歳、7か月 男の子のママ)
河邉貴子さん(聖心女子大学 教授/幼児教育学)

お子さんが通園していることからすると、おそらく保育園でも、お友達と同じようなことをして遊んでいるのだと想像できますね。ごっこ遊びはとても知的な活動です。見えないものを想像したり、別の用途のものを何かに見立てたり、自分ではない何者かのふりをしなければできません。これは、動物の中でも人間だけにしかできない精神活動です。
まず、「ふり」をするために、想像する力、生み出す力が必要です。また、「ヤア!」「トオーッ!」などと声を出して表現する力もありますね。これをお友達と一緒にしていれば、言語の力、社会性なども身についていきます。ごっこ遊び、大事にしてあげたいですね。

頑張っているママは、自分ではSOSを出せない

産後 心と体の不調」の回から、助産師として、ママと赤ちゃんのケアに携わってきた市川香織さん。「産後の不調を、パパや一時預かりのサポートでなんとか乗り越えた」という体験談へのコメントです。

<1児のママの体験談>
結婚して、仕事を辞め、実家を離れて半年ほどで妊娠。目まぐるしく環境が変わり、出産直後は自分のことを考える暇もありませんでした。離乳食が始まるころから苦しさを感じるようになりましたが、パパは仕事がとても忙しく「自分が我慢しておこう」と思っていました。
息子が2歳を過ぎたある日。心と体の疲れがピークに達していました。突然、心が折れたように感じて、形容しがたい程しんどい感覚に襲われて、倒れ込んでしまい、涙が止まらなくなりました。すぐに心療内科を受診して、「しばらく子育てから離れて、もっと自分の時間を取るように」とアドバイスを受けました。
そこでまず頼ったのは、地域の有償ボランティアサービスです。子どもの世話を頼み、疲れた体を休めることにしました。さらに利用したのが保育園での一時預かり。保育所の方が見守ってくれているのが伝わってきますし、自分自身の時間が取れることで精神的に落ち着きました。
そして、少しずつパパへ素直に助けを求められるようになりました。一時は心と体のバランスを崩してしまいましたが、周囲の助けを借り、頑張り過ぎなくなったことで、少しずつ余裕が生まれてきています。
市川香織さん(東京情報大学 准教授/助産師)

本当にギリギリまで頑張られて、しんどかったですよね。ママは自分ではなかなかSOSが出せません。そうすると、一番身近なパートナーであるパパが気付くことがとても大事になってきます。
気付く視点としては、ママはちゃんとごはんを食べているか、ちゃんと眠れているか、寝ているけど目は覚めているんじゃないか、最近笑顔が少なくなってきていないかなどを見てあげてほしいと思います。
例えば、1日のうちで朝ごはんなら一緒に食べられるとか、顔を合わせるタイミングで健康かどうかをお互いに確認できるとよいかと思います。

大人目線では発展性がなくても、子どもは変化を発見している

続いては「なぜこんなことを? 子どもの不思議な行動」の回から、子どもの心の発達を研究している遠藤利彦さん。「子どもは同じことをなぜ何度も繰り返すの?」という疑問へのアドバイスです。

1歳3か月の息子が、おもちゃを箱に入れたり出したりします。箱から出して遊ぶのかなと思ったらすぐにおもちゃを戻します。出し入れを何度も繰り返すこの行動に何か意味があるのでしょうか。
(1歳3か月 男の子のママ)
遠藤利彦さん(東京大学大学院 教授/発達心理学)

子どもの遊びの基本的なパターンは、「繰り返し」と「変化」です。大人目線では「さっきから同じことばかりで、発展性がなくてつまらない」と見えたとしても、実は、その「繰り返し」の中で、少しずつ「変化」を発見している可能性もあります。
子どもが遊びに夢中になっているとき、特定のものに没頭しているときは、科学者と同じような頭の働きが生じているのではないかと考えられています。「こうしたらさっきと同じことが起こるんじゃないかな?」という仮説を立て、「実際やってみよう」と実験する。これをずっと繰り返しているわけです。そんなふうに見ていただけるといいと思います。

たゆたえども沈まず。時には波にまかせ、沈まなければいい

最後に「仕事と子育ての両立」の回から、大日向雅美さん。「時短勤務で職場に申し訳ない……」というお悩みへのアドバイスです。

親の介護もあって時短勤務をしています。理解のある職場ですが、みんなより遅く来て、みんなの仕事中に帰ることになるので、申し訳ないと感じて心が痛みます。
(3歳 男の子のママ)
大日向雅美さん(恵泉女学園大学 学長/発達心理学)

「たゆたえども沈まず」という言葉があります。パリの市庁舎に掲げられている、荒波に揺れる帆船の絵にそえられている言葉です。いろいろな戦時に揺れはしたが、我々は絶対に沈まない――そんなパリ市民の意思の象徴なのです。
子育てと介護のダブルケアは本当に大変です。大変なときには、じっくりと、沈まないようにさえしていればいい。時には、波にまかせることも大事です。そこで、いろいろなものを得られるかもしれません。ひとりでなくてもいい、みんなで手を携えて乗り切っていきましょう。これ以上頑張らなくてもいい、ただ沈まないことを考えてください

「くすくす子育て」の子どもの不思議な行動

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