アタッチメントは家族だけでつくらないといけないの?

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2024/05/04

出典:すくすく子育て[放送日]2024/05/04[再放送]2024/05/09

アタッチメントが大切なことはわかりましたが、家族だけでつくらないといけないものでしょうか?

保育園では、保育者が親に代わる存在になる

回答:近江屋希さん

子どもたちは保育園でもアタッチメントを経験しています。子どもたちが不安になったり、心配になったり、困ったりしたときには、親に代わって保育者が「大丈夫だよ」「一緒に待ってようね」「私が見てるから安心してね」と応えます。そういう存在の人がいるだけで、子どもたちが安心して一歩を踏み出せる基盤を作れるのではないかと思います。

保育園のアタッチメント

家族だけではなく保育園でもアタッチメントが子どもの心の育ちに大切な役割を果たしているといいます。横浜市の保育園で、子どもたちの様子を見せてもらいました。

0歳児クラスです。入園したてのころは子どもがアタッチメントをつくる大事な時期で、可能な限り同じ保育士が関われる工夫をしています。

たまたま担当の保育士がいないときに転んでしまった子がいました。別の保育士がすぐにだっこしますが泣きやむ様子はありません。

ところが、担当の保育士がやってくると、すぐに落ち着きを取り戻したようです。同じ保育士が担当することで、子どもたちは安心して生活できるのです。


今度は、どろんこあそびをしていた子どもが保育士に近づいてきました。保育士が「どうしたの?」と聞くと、「いしはいった~」と不安そうな顔です。

保育士に、どろを水で流してきれいにしてもらうと、安心できたのか次の挑戦、大きな木に登りはじめました。

保育士たちは、子どもたちの「できた!」という気持ちにもタイミングよく応えて、次の挑戦を後押ししています。

安心できる存在に

近江屋さんが園長をつとめている保育園では、およそ1年前に双子の女の子が入園しました。2人は園生活への不安感が強く、クラスに入ることも保育士が触れることさえできなかったそうです。保育士は長い時間をかけて、不安にとことん寄り添い、アタッチメントをつくっていったといいます。

はじめは昼ごはんを部屋で食べられず、「一緒にテラスで食べようか」と言って一緒にテラスで過ごすことに。保育士が食べるのをじっと見たり、好きなものを少し食べたりしていました。その後、廊下に囲った場所を作ってそこで食べてたり、部屋に入れたり、そういった段階を踏んだのです。4月に入園してから9月ごろまではテラスでの生活が続いたそうです。

そのとき見守り続けた保育士は、無理に集団生活をさせるのではなく、2人が安心できる居場所に自分がなろうと考えたといいます。安心できる存在ができたことで、2人はたのしく友だちと遊んだり、いろんなことに挑戦したりできるようになりました。

双子のママに話を聞くと、「絶対に被らなかった園の帽子を自分から被るようになって、ひとつできるようになったらいろいろできるようになって、トイレトレーニングも急に進んで、変わったと感じます」といいます。

2人の変化をよろこび、子育てが少し楽になったママ。保育園でのアタッチメントをきっかけに、親子関係にもいい変化があったようです。


りんたろー。さん(MC)

アタッチメントを親だけで完結しなくても大丈夫というのは、とても安心します。


―― 子どもが園で安心して過ごせるように、親ができることはありますか?

保育園を信頼してもらえることがいちばん

回答:近江屋希さん

親が保育士と親しそうに、楽しそうに子どものことを話していると、子どもに「私のことをいつも話してくれている」と伝わります。まずは、保育園を信頼してもらえることがいちばんだと思います。


―― 保育園や保育士が親に与える影響はありますか?

親にもアタッチメントできる存在が必要

回答:近江屋希さん

遠藤さんから「アタッチメントは一生涯続くもの」という話がありましたね。私もその通りだと感じるときがあります。
親も保育者も大人ですが、お互いに「大丈夫だよ」「わかるよ」「それは不安だよね」と伝え合っていると、「私の気持ちをわかってくれる」「この不安に寄り添ってくれる」と思えます。そのような存在に保育所もなりたいですね。大人になってもお互いがアタッチメントであり得る存在のように思います。
丸山桂里奈さん(MC)

子育てでは、いろんなことがその場で起きてイライラしがちですよね。小さいころから子どもを預ける人もたくさんいると思うので、保育所が親のアタッチメントになり得るという話はとても安心します。

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