不妊治療とは?

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2021/10/16

出典:すくすく子育て[放送日]2021/10/16[再放送]2021/10/23

どういうことを不妊症というのですか?

避妊をせず性交を続けて1年間妊娠しないこと。医学的介入が必要な場合

回答:笠井靖代さん

妊娠を望んだ健康なカップルが、避妊をせずに通常の性交を続けて、1年間妊娠しない場合、これを「不妊症」と定義しています。病気など、医学的介入が必要な場合は期間を問いません。
今クローズアップされているのは、女性が高年齢になって、卵巣機能が低下して妊娠しづらい場合、不妊治療を受けている方は少なくないことです。一方で、若い女性でも、子宮内膜症や骨盤内の感染で卵管の通りが悪くなり、不妊治療が必要な場合があります。

※妊娠はするけれども、2回以上の流産、死産を繰り返して結果的に子どもを持てない場合を「不育症」と呼び、検査や治療が必要になる場合があります。

不妊治療の方法は?

不妊症の治療とはどういうものなのか、齊藤隆和さん(国立成育医療研究センター 不妊診療科診療部長)に話を聞きました。

解説:齊藤隆和さん

不妊治療は、まず「なぜ子どもができないか?」という原因を調べることから始まります。

不妊の原因は、男性・女性ともにおよそ50%ずつあります。どちらにどんな原因があるのかわからないので、夫婦一緒に検査することが大切です。

不妊治療の方法は、大きく「タイミング法」「人工授精」「体外受精」の3つに分けられます。

一般的に、最初に行うのは「タイミング法」です。検査によって排卵日をより正確に予測し、夫婦で性交のタイミングを合わせる方法です。

続いて「人工授精」は、排卵の直前に精液をとり、運動性のよい精子を選んで子宮内に注入し、妊娠率を高める方法です。

タイミング法と人工授精が先に行われるのは、体への負担が少ないからです。最後の手段となる体外受精は体への負担が大きくなります。

「体外受精」は、卵子と精子をそれぞれ体外に取り出し、シャーレに入れた培養液の中で受精させます。

その受精卵を子宮に戻すのです。ここからは高度不妊治療と呼ばれています。

体外受精の中には、精子の量が少ない場合などに行われる「顕微授精」という方法もあります。卵子に直接、針をさし、運動性のよい精子1個を注入する方法です。

日本産科婦人科学会のまとめ(※)によると、高度不妊治療で子どもを授かる割合は、治療あたり12.9%です。年齢別にみると、30歳では21.8%ですが、40歳になると9.8%になり、年齢があがるにつれて割合は下がっていきます。
※2021年 日本産科婦人科学会ARTデータより

すべての方が、治療すれば妊娠できるわけではありません。100回通っても、3年通っても、妊娠に到達できない方もいます。私たち治療を行う側には耳の痛いところですが、「不妊治療はゴールの見えない治療」のようにいわれることもあるのです。

私自身、すぐに授かるだろうと思っていたが、そうではなかった

コメント:松本亜樹子さん

私自身、子どもは、望めばすぐに授かるだろうと思っていました。でも、そんなことはありませんでした。それから、思い切って病院に行って、不妊治療を始めれば授かるだろうと思ったけど、それもなかなか授かりませんでした。

仕事を考えると、妊娠・出産に適した時期が見えなかった

コメント:笠井靖代さん

自分のことを振り返ると、出産の直前まで働いていることがかっこいいと信じ込まされていたところがあります。そのため、自分の問題として、仕事のステップの中で妊娠・出産に適した時期はどこなのか、なかなか見えなかったんです。特に女性にはタイムリミットがあります。簡単に妊娠できない場合があることを、よく知っておきましょう。

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