「いないいないばあっ!」親子で楽しむヒント ~ トマトちゃん

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今回は「トマトちゃん」のアニメーションについて、このコーナーの監修をされている奥村優子さんのお話を紹介します。

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奥村優子(おくむら・ゆうこ)さん
2014年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、NTT コミュニケーション科学基礎研究所、研究主任。乳幼児におけるコミュニケーションの発達や言語発達を専門とし、メディア利用時の母親の語りかけについても研究を進めている。著書に『発達科学の最前線』(共著、ミネルヴァ書房)、『ベーシック発達心理学』(共著、東京大学出版会)などがある。

トマトちゃんのコーナーは、赤ちゃん学の科学的知見に基づき制作されています。

ピカピカブ~画像4 今回のシリーズは、生後5か月という幼い時期の赤ちゃんから理解可能だと科学的に証明された「数」の認知能力をテーマとしています。 赤ちゃんの数の理解を調べた研究をご紹介します。 米国・イェール大学の赤ちゃん研究者カレン・ウィンは、赤ちゃんが不思議だと感じたものをじっとみつめる「注視行動」を利用した実験を行いました。 1. 5か月の赤ちゃんに、人形を1つ見せます。 2. 次に、カーテンを閉じることでその人形を隠します。 3. さらにもう1つ別の人形をカーテンの後ろに隠します。

4. その後、カーテンを開けたときに人形が2つ現れる場合(a)と、1つしか現れない場合(b)を見せて、赤ちゃんの反応の違いを調べます。
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すると、赤ちゃんは、人形が2つよりも1つしか現れない場合にじっと見つめる反応を示します。この実験のように、「1+1=1」になっていると、5ヶ月の赤ちゃんでもその場面が不思議だと思い、じっと見つめたのだと解釈できます。「1+1=2」のときは、当たり前のことが起こっているわけですから、じっと見つめません。つまり、赤ちゃんは1+1が1ではなく2であることを理解しているのです。ウィンは同様の方法で「1+1=3」や「2-1=2」も赤ちゃんが不思議に感じ、じっと見つめる反応をみせることを示しています。 トマトちゃんの映像は、トマトちゃんが容器の中に入って遊び、再び現れたときに「1+1+1=3」といった予測できる映像と、「1+1+1=2」や「1+1+1=0」になる不思議な映像が使われています。

tomato_002 A:次々と容器に入っていく3つのトマトちゃん

ピカピカブ~画像4 A:容器から出てきたトマトちゃん 「1+1+1=3」 思った通り!

ピカピカブ~画像4 B:また次々と容器に入る3つのトマトちゃん

ピカピカブ~画像3 B:容器から出てきたトマトちゃん        「1+1+1=2」 あれ?

トマトちゃんの不思議な映像が現れたときに、お子さんは一体どんな反応をするのでしょうか?親子で楽しみながらご覧になってくださいね。(不思議にみえる映像では、トマトちゃんは箱の後ろに隠れています。どのトマトちゃんが箱の後ろに隠れたのかは映像を注意深く見たらわかりますので、ぜひテレビを見ながら確認してみてください。) 赤ちゃんは、3個までは(ことばで数えることができなくても)直感的に数を把握できるとも言われています。こうした能力を利用してトマトちゃんの数についての理解可能な内容を提示することにより、赤ちゃんの知的好奇心を促進し、認知の発達をゆるやかに後押しすることができるのではないかと期待しています。
いないいないばあっ!
放送<Eテレ>
毎週月曜~金曜 午前8:10~8:25
(再)午後4:00~4:15 

【ご注意ください】
※放送は、時間の変更や休止になることがあります。
※番組に関する質問には、「すくコム」でお答えすることは出来ませんのでご了承ください。
ご意見・お問い合わせは、NHKオンライン「ご意見・お問い合わせ」(http://www.nhk.or.jp/css/)までお願いいたします。

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