発達障害のある子の就学と小学校

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2018/05/26

出典:すくすく子育て[放送日]2018/05/26[再放送]2018/06/02

就学先の選択肢

発達障害のある子が小学校に上がるとき、4つの選択肢があります。

まずは、大勢の子とともに学ぶ「通常の学級」です。担任の先生と相談をしながら、できる範囲で配慮を受けられます。

個別の支援を手厚く受けたい場合は、状況に応じて3つの選択肢「通級指導教室」「特別支援学級」「特別支援学校」があります。これらの「特別支援教育」は、将来の自立と社会参加を目指し、それぞれの子どものニーズに対応するためのものです。

<通級指導教室>

ふだんは「通常の学級」に在籍しながら、必要に応じて指導を受けることができます。
多くの時間は通常の学級で過ごし、週に数時間、別の教室へ移動して、苦手な音読の指導を受けたり、社会性を学ぶためのグループ活動をしたりするなど、子どもにあった指導を受けます。

<特別支援学級>

発達障害のある子や、知的障害のある子など、障害の種類によってクラス分けされた少人数の学級です。子どもの状況や保護者の要望に応じて、特別なカリキュラムを組んで学習することもできます。
基本的には、特別支援学級で過ごしますが、校内の「通常の学級」へ移動し、同じ学年の子どもたちと交流する機会もあります。

<特別支援学校>

1クラス最大6人の少人数制で、バリアフリー化されているなど、施設も整っています。専門性の高い教員の指導を受けられますが、学校の数が少ないため、ほとんどの子どもたちは地域から出て通うことになります。

就学相談について

入学先に迷う親子のために、各自治体では就学相談を行っています。子どもと保護者が、専門の相談員に進学の不安を相談できる場です。原則として、子どもとその保護者の意向は尊重されますが、最終的には地域の教育委員会が進学先を決定します。

汐見稔幸さんどういう教室の形式がよいのかという問題もありますが、教育内容の研究も大事だと思います。例えば、学習障害のある子に対してどういう教育をするのか、といった研究もやるべきだと思います。
アメリカの場合は、例えば計算が困難な子どもに「何が好き?」と聞きます。そこで「機械いじりが好き」と言われたら「では、計算機を使いましょう」となります。その上で、計算ができたら「君はすごいね」と声をかける。このように、できることを使って苦手を克服するような教育をするといいます。
この考え方であれば、いろいろなハンディを持つ人たちでも適応できると思いますが、なかなか切り替わらない部分もあり、難しい面もあると思います。
(汐見稔幸さん)

インクルーシブ教育について

今、世界の教育現場では「インクルーシブ教育」が注目されています。“一人ひとりのニーズにあった教育”、“みんなで一緒に学ぶ”、この2つを実現しようとする教育理念のことです。特別な支援が必要な子、ゆっくり学びたい子、たくさん勉強したい子、多様なすべての子どもたちのための教育です。


学校サポーター事業について

親たちのつながりが、教育の現場を変えつつあります。
そのひとつが、東京都八王子市の「学校サポーター事業」です。

学校サポーターは、先生のように授業を行いませんが、子どもたちの学びを助ける有償のボランティアです。特別支援の対象の子どもだけでなく、誰にでもサポートをするのが特徴です。授業だけではなく、休み時間や給食のときも、あらゆることに手を差しのべ、クラスを見守ってくれます。先生たちにとっても欠かすことのできない存在です。

「子どもたちが“助けてもらえるという安心感”を持つことができて、待つことができたり、学習への意欲や取り組みが良くなったり、前向きになったと感じます」
(小学校教諭)

学校サポーターになるためには、いくつかの条件がありますが、500名以上(2018年5月)の人々が登録しています。いまや、学校サポーターは、八王子市内のすべての小学校(中高一貫校を除く)で子どもたちを見守っています。


汐見稔幸さん一斉に授業して、同じことを同じように理解しなさいという教育は、近代社会が生み出した非常に特殊な方法です。本来は、一人ひとりのニーズがあり、それぞれに学びたいテーマがあり、それらを自分のものにしながら発見していく場所が学校です。そのためには、多様な教育の形態が必要だということが、いろいろな形で、ようやく明らかになってきました。
ひとりで悩んでいる親もたくさんいると思いますが、みなさんが少しずつ声を出していくことで、新しい形が見えてくる。そういう時代が始まったのではないかと思います。
(汐見稔幸さん)


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