一時保育で大泣き。子どもの心にはどんな影響があるの?

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2020/03/14

出典:すくすく子育て[放送日]2020/03/14[再放送]2020/03/21

初めて一時保育に預けたのは3、4か月のとき。そのころは泣くこともなく安心して預けられたのですが、9か月ごろになって同じように預けると、なぜか大泣きしてしまいました。その後、後追いが増えて甘えるようになったと感じています。今は、一時保育の利用をためらっています。親と離れることは子どもの心にどんな影響があるのでしょうか。
(1歳 男の子のママ)

9か月くらいはちょうど人見知りや後追いの時期。

回答:草川功さん

ちょうど9か月くらいは、人見知りや後追いが非常に強くなる時期です。お母さんがトイレに行くだけでも後追いをして泣くこともあります。そんな時期に、お母さんと離れることで少し不安になって大変だったかもしれませんね。しかし、子どもはどんどん成長していきます。今はそういう時期だと考えましょう。

一時保育、子どもにどう影響するの?

一時保育に預けられることは、小さい子どもにとってどんな経験なのでしょうか。
子どもの愛着関係の形成や社会性の発達に関する研究をしている、遠藤利彦さん(東京大学大学院教授/発達心理学)にうかがいました。

一時保育などで、子どもが親以外の大人と出会って関係をつくる経験は、子どもの育ちにとって、とても貴重な機会になるといえます。基本的に、子どもは自立性を身につけていくことが重要ですので、同じくらいの月齢・年齢の子どもと一緒に遊ぶなど、いろいろな人と出会う機会を徐々に増やしていくのは必要なことです。
(遠藤利彦さん)

子どもには、親など特定の大人に甘えて愛着関係をつくっていくことと同時に、特定の人以外との人間関係をつくって社会性を育てていくことも大切です。この2つの関係をつくりながら、子どもは成長していきます。

親など特定の人と離れても大丈夫、というタイミングは、とても個人差が大きいので、その子の個性に合わせて様子を見てあげてください。人見知りの子、親から離れると感情が崩れやすい、泣きやすいというのは、その子の個性として受け止め、その子に無理のないペースで少しずつ離れられるように心がけていくといいでしょう。
重要なのは、預けることで「かわいそうな思いをさせない」ことではなく、子どもの感情が一時的に崩れたときに、それを立て直して「安心感を与えてあげる」ことです。確実に安心感を与えることで、子どもは状況に慣れ、行動範囲を広げられるようになっていきます。
(遠藤利彦さん)

例えば、「5時になったら迎えにくるよ」と約束をして、約束の時間どおりに迎えに行く。そのあとは親に甘えられる時間をとる。こうした経験を通じて、子どもは親への信頼感を深めていきます。関係ができていくにつれ、子どもは徐々に親から離れられるようになっていくのです。

預けることで、ほかの子どもや親以外の大人との関係を持つことができます。

コメント:大豆生田啓友さん	

子どもを預けると、「子どもが親と離れることで不安になってしまう」という情報をインターネットなどで目にしている方も多いかもしれません。しかしそこはあまり心配せず、子どもが泣いたあと、しっかり受け止めていけば大丈夫だと思います。
また、子どもが他の子へ関心を高めていく、という点でも、預けることはとても大事な機会にもなります。保育者など親以外の大人との関係を持つことも大切です。

子どもは成長や発達とともに変化していきます。心配な時には小児科医に相談を。

コメント:草川功さん

子どもは成長や発達とともに、どんどん変わっていきます。言葉が出てくると、またさらに変わっていきます。個人差がありますので、成長、発達の様子は一人一人をよく見ていただければと思います。
ただ、何度も同じ場所に預けていても、ずっと激しく泣いてしまうなど、心配がある場合には小児科医に相談をしてみることをおすすめします。「預けるのはもう少し待ったほうがいい」「今は集団のところよりも少人数の静かなところのほうがいい」など、発達や成長を加味しての助言がもらえるかもしれません。

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