夏の感染症の基本が知りたい 種類・症状・対処法は?

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2025/06/14

出典:すくすく子育て[放送日]2025/06/14[再放送]2025/06/19

長男(10か月)の一時保育を考えていて、事前にできる感染症対策をしたいと思っています。きっかけは、息子がはやりの胃腸炎に感染したことです。まだ保育園に通っていない息子が感染するとは思っていませんでした。
感染後、想像以上の下痢が続き、私自身も初めて胃腸炎がうつりました。感染したときの準備をしていなかったことや、病気について知らなかったことを後悔しながら、親子で症状が治まるまで過ごしました。症状が治まったあとも、昼間に泣くことが増えて、感染前の状態に戻るまでに1か月以上かかりました。
胃腸炎の症状は、育児書に書かれていた一般的なことと違っていました。夏の感染症の種類や症状について、どういった可能性があるのか知りたいです。
(お子さん10か月のママ)


―― 夏の感染症は、何種類ぐらいありますか?

かぜの原因ウイルスは無数にあり症状もさまざま

回答:松永展明さん

かぜの原因となるウイルスは無数にあります。症状もさまざまでです。1年中、誰もがかかるような感染症もあり、夏にはやる「夏かぜ」もあります。「夏かぜ」で代表的なものは「ヘルパンギーナ」「手足口病」「咽頭結膜熱(プール熱)」です。

ヘルパンギーナの主な症状

解説:松永展明さん

ヘルパンギーナの主な症状は、発熱(高熱)、のどの痛み、口腔内の水疱(すいほう)・痛みです。

夏の感染症:ヘルパンギーナ

手足口病の主な症状

解説:松永展明さん

手足口病の主な症状は、発熱、のどの痛み、そのあとに口・手足などに発疹が出るのが特徴的です。症状は重いことも軽いこともあります。ウイルスと子どもの免疫との掛け合わせで症状が出てくると考えてください。水疱が出るところもさまざまで、手にたくさん出る子もいれば、手にも足にも出る子もいます。

夏の感染症:手足口病

咽頭結膜熱(プール熱)の主な症状

解説:松永展明さん

咽頭結膜熱の特徴は、発熱(高熱)、のどの痛み、結膜炎(かゆみ・痛み・充血)です。場合によっては腹痛や下痢など、胃腸炎の症状が出ることがあり、これが大きな特徴です。以前は、プールでのタオルの共用で、目の感染が起きていたことから「プール熱」と言われていた経緯があります。

夏の感染症:咽頭結膜熱(プール熱)


―― 感染した場合の対処法はありますか?

夏は脱水になりやすいので水分補給が大事

回答:松永展明さん

のどが痛いと水分をとりにくくなります。子どもは「のどが渇いたけど飲みたくない」と嫌がるかもしれませんが、夏は暑く脱水になりやすいので、しっかり水分補給することが大事です。


―― どのぐらいの症状で受診するのがいいですか?

子どもの元気・食事・機嫌を確認。水分がとれず脱水になっているようなら受診を

回答:松永展明さん

どの感染症でも、子どもの「元気はあるか?」「食事ができるか?」「機嫌はどうか?」をしっかり評価することが大事です。夏かぜの場合は、比較的元気なことも多いです。元気で水分もとれているなら、少し安心して様子を見てもいいでしょう。水分がとれずに脱水になっているようなら、小児科を受診してください。

高熱が長引いて他の症状が出たら受診を

回答:松永展明さん

夏かぜは高熱が長引くこともあります。例えば目が赤くなり、リンパが腫れて、唇が赤くなって、発疹が出ることもあります。このように他の症状が出たら、ほかの病気が隠れていないかを確認する意味で、小児科を受診してください。


―― 子どもがけいれんを起こす場合もありますか?

熱性けいれんの多くは短時間で自然におさまる。症状を見ながら小児科に相談を

回答:松永展明さん

38℃以上の急激な発熱によって起こる「熱性けいれん」は、発熱してから24時間以内に起こることが多い発作です。多くは短時間で自然におさまります。けいれんがおさまったあとに症状をみながら小児科に相談してみてください。
一方で、熱が数日続いたあとにけいれんをして、目が合わせにくくなって目がうつろになってしまうことがあります。夏かぜの中には髄膜炎(※)になりやすいウイルスも含まれており、髄膜炎のことも識別しないといけないので、小児科に受診してください。
※髄膜炎:ウイルス感染などで脳と脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気。けいれんや高熱の原因となる。
症状が治まった後も、病院からは「ウイルスは排出しているから、まだおむつ替えに気をつけて」「ただの吐き戻しでもウイルスに気をつけて」と言われていました。育児本には、夏の感染症の排出期間は冬のウイルス性胃腸炎よりも短いと書いてあります。ウイルス排出期間のお世話のしかたについても知りたいです。
(お子さん10か月のママ)

おむつ替えなどは少し長めの期間注意する

回答:松永展明さん

ウイルス性腸炎の場合は、排出期間に長い・短いがあります。大体は下痢の症状が治まるまでがウイルスが多く出ている期間なので、特に注意してください。ただ、ウイルスは1~2週間など結構長く出ているので、おむつ替えなどは少し長めの期間注意しましょう。
赤ちゃんは自分で手を洗うことがまだできないので、感染対策にはどこに気をつけたらよいでしょうか。
(お子さん10か月のママ)

家族が手洗いなどしっかり感染対策

回答:松永展明さん

赤ちゃんがいろんなところからウイルスを持ってくることはなく、家族からうつることがほとんどです。家族が外出から帰ったら手を洗い、しっかりと感染対策するのが大事です。家族にかぜの症状があるときは、できれば赤ちゃんに近づかないのもひとつです。

赤ちゃんの手をきれいに拭いてあげる

回答:松永展明さん

赤ちゃんは近くのものをよく触るので、手を拭いてきれいにしてあげるのもひとつの対策です。赤ちゃんは口の中に手を入れるので、ウイルスが入ってしまいます。注意してあげてください。


―― アルコールの除菌でも大丈夫ですか?

石けんと流水で手を洗うのがいちばんいい

回答:松永展明さん

基本的には、アルコール除菌で多くのウイルスはなくなるので大丈夫です。一方で、夏かぜや胃腸炎など、ウイルスによってはアルコール除菌が効きにくいものもあるので、石けんと流水で手を洗うのがいちばんいい方法だと思います。

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