■坂田おさむ　プロフィール

1977年 シンガーソングライターとしてデビュー。
1985年NHK教育テレビ（現Eテレ）「おかあさんといっしょ」第7代「歌のお兄さん」に就任し、8年間務める。数多くの音楽作品を幼児教育番組・各界に提供している。

— 1982年から1992年まで10年にわたりに放送され、子どもたちに大人気だった「にこにこ、ぷん」ですが、坂田さんの印象に残っていることはありますか？

僕は1985年に歌のお兄さんになりました。そしてその時、すでに3歳になる娘がいたんです。もう毎日、二人で番組を見ておりましてね。不思議な縁を感じたのを覚えています。ある時、スタジオ収録に娘が来て、家に帰ると、「じゃじゃ丸たちとああやって毎日楽しく遊んでいるんだね」とうらやましがられました（笑）「おかあさんといっしょ」は今も昔もＮＨＫの１０３スタジオで収録しているんですが、当時、歌のお兄さんとして子どもたちをスタジオに連れて入って、毎回、にこぷん（にこにこ、ぷん）のみんなを呼ぶのですが、彼らが出てくるときの子どもたちの大歓声！あれは今でも忘れられない。本当に、本当に友達として認識し、愛しているんだなぁと毎回実感したものです。あの時の子どもたち、もうすっかり大人だと思いますが、あの「幼心」をいつまでも心の底に持っていてほしいと思っています。

— 「にこにこ、ぷん」放送当時の「おかあさんといっしょ」でも、そして現在も歌のお兄さんとしてファミリーイベントなどで多くのお子さんと接する中で、時代と共に、子どもたちやご家族の様子に変化を感じることはありますか？

キャラクターたちに対する親愛の表現の違いはほとんど無くて、もうアイドルと呼んでも良いくらい、目をキラキラさせて見ているし、一緒にいる時間を心から楽しんでいる。そんな「純な心」はどの時代も変わらないと思っています。変化といえば、子どもたちの服装は時代時代に合わせてなんとなく洗練されているように見えるかな。

— 当時の子どもたちが夢中になった物語を、新しくパペット人形劇でお届けする「 にこにこ・ぷん NEO」をご覧いただいていかがですか？

キャラクターのほとんどの動きが昔となんら変化なく表現できていると思います。パペット人形になったことで、実話っぽさ、生々しさ（リアルさ）ではなくて、子どもたちは、かえって夢のような世界観の中でキャラクターへの親しみやすさを感じているかもしれない。音楽は打ち込みが中心なんですよね。リズムの変化もあって、１６ビートになっていたりして。全体の雰囲気がとても面白いと感じました。

— 音楽といえば「どんないろがすき」「にじのむこうに」「ありがとうの花」「きっとキセキ」など、坂田さんが作詞・作曲をされた数多くの楽曲も世代を超えて子どもたちに親しまれ、歌い継がれています。ご自身の楽曲制作のスタイルや、歌を通して伝えたいメッセージなど、時代の変化とともに「変わっていく部分」または「変わらない部分」はあるでしょうか？

「自分が子どもの頃にこんな歌があったら嬉しいだろうな」と思いながら作るのが一番のモチベーションです。また、作曲したその時々の時代背景がありますが、制作の基本スタイルは変わることなく、「おかあさんといっしょ」の番組を見ながら、子どもたちとおかあさんが一緒に仲良く歌えることをいつも考えて作ります。ですので、それぞれの子どもたちの時代に流れている「リズムと世相」はやはり歌に反映されていると思います。

— 最後に、すくコムの読者であるお子さんとご家族にメッセージをお願いします。

親御さんが番組を見ていた時代のキャラクターは年を取ると変わっていくと思いますが、見ていた時代の空気感はそのまま心に残っているかと思います。お子さんやみなさんにとって、キャラクターが大切なその時代の友人として、いつまでも心に残ってくれていたら嬉しいです。

— ありがとうございました！