秋冬になると増える感染症。子どもが熱を出したり、おなかをこわしたりすると心配ですよね。不安なことや知りたいことを、小児科医の松永展明さんと、看護師の野村さちいさんに聞きました。
秋冬に多いおう吐・下痢の感染症は、ウイルス性胃腸炎(ロタ・ノロ)などになります。
今回は「下痢・おう吐」を起こす、ウイルス性胃腸炎などのおなかのかぜについてです。
講師:松永展明(国立国際医療研究センター病院 小児科医)野村さちい(小児救急看護認定看護師/「つながる ひろがる 子どもの救急」代表)
子どもが吐いた、下痢をした! どんなことに気をつけたらいいの?
解説:松永展明さん
急性胃腸炎は、「おう吐」からはじまり、そのあと「下痢」なっていきます。おう吐がいったん収まったあと、ほっとしたとき下痢になり、油断してしまって脱水の症状に気づかないことがあるので注意しましょう。
脱水ってどんな状態?
解説:松永展明さん
例えば、目がトローンとする、落ちくぼむ、唇や口の中が乾く、皮膚にしわができるときなどは、脱水の可能性があります。すぐに受診しましょう。
脱水にならないようにするには?
解説:野村さちいさん
まず、「何を飲ませるか」が大事です。
繰り返すおう吐・下痢のときは、塩分・糖分を補給するために「経口補水液」や「イオン飲料」と呼ばれるものが適しています。体から失われた塩分などの電解質や、糖分をすばやく吸収できるように作られています。
経口補水液が苦手な場合は、薄めた具なしのみそ汁、リンゴジュースなどで代用できます。母乳を飲んでいる場合は母乳のままでもよく、ミルクの場合は少なめにしましょう。
次に、「どう飲ませるか」も大切です。
一気に飲むと吐いてしまう場合があります。ポイントは、チビチビと何度も飲ませること。最後に吐いて30分から1時間くらい待って、吐き気が収まってから飲ませます。
最初は、ティースプーン1杯程度を5分に1回程度からはじめ、少しずつ量を増やしながら飲ませます。
食事はいつごろから再開できるの?
解説:野村さちいさん
無理して食べさせなくてよいので、まずは水分から与えます。吐かずに水分がとれるようになってから、おかゆなど、消化のよいものを少しずつ与えてください。
家族への感染予防のための下痢・おう吐物の処理方法は?
解説:野村さちいさん
手袋・マスクなどを使って処理してください。下痢のおむつは1個ずつポリ袋に密閉してすぐに廃棄します。
ポイントは、感染源となる下痢やおう吐したものを広げずに手早く片づけることです。
感染予防の片づけセットを用意しておくと便利です。消毒用として水に薄めて使う塩素系漂白剤、薄めるための水、ポリ袋、マスク、手袋、ペーパー、ぞうきん、着替えなどをまとめておくとよいでしょう。
そして、片づけた後や食事の前には必ず手洗いをしてください。基本を守ることが感染予防になります。
松永展明さん 胃腸炎を起こすウイルス(ノロ・ロタなど)は、アルコール消毒が効かないものが多いので、せっけん・流水でウイルスを洗い流すことが大切です。
まいにちスクスク「秋冬の感染症」の番組記事
- (1)発熱
- (2)下痢・おう吐
- (3)「いつも」を知ろう
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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