離乳食のきほん(2)離乳食の栄養について

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2024/04/15

出典:まいにちスクスク[放送日]2024/04/12[再放送]2024/04/16

離乳食は、赤ちゃんの「食」のはじめの一歩。管理栄養士の太田百合子さんに、離乳食の基本を教えてもらいました。
今回は、離乳食の栄養についてです。

講師:
太田百合子(管理栄養士)

離乳食の役割

離乳食の目的は、「乳離れ(母乳やミルクをやめる)」ことではありません。母乳やミルクだけだと栄養が不足し、特に5~6か月ごろから鉄やたんぱく質が不足します。離乳食には、栄養補給という意味があるのです。

そのために、少しずつ固形物を「食べる練習」をする期間です。形のあるものを食べることで、消化する能力が発達し、かむ力も育っていきます。
同時に「食べたい」という気持ちや好奇心を育み、「自分で食べる力」を身につけていくのです。

消化器官やかむ力の発達に合わせた、食べる量や硬さなどの目安が、初期から、中期、後期、完了期へと進むように指導されています。

マニュアル通りに進めたほうがいいの?

現在、本やネット、自治体の教室などで、さまざまな情報が入手できます。その反面、マニュアル通りに進めなくては、とプレッシャーになることもあるようです。

しかし、赤ちゃんにはそれぞれ個性があり、発達にも違いがあります。保護者にとってもはじめてのことでわからないことが多いでしょう。離乳食の本などでは、消化しやすいものや調理しやすいものなどがわかりやすく説明されています。その通りにする必要はないので、参考にしながら進めるとよいでしょう。

食べる量が多いか少ないかは、身長・体重を母子健康手帳の発育曲線に記入して、カーブから外れていないかチェックしましょう。

気をつけたい栄養素

赤ちゃんの時期に気をつけたい栄養素は、鉄、カルシウム、亜鉛です。6か月以降は生まれるときにたくわえていた体内の鉄のストックがなくなってしまうため、鉄欠乏性貧血にならないよう注意が必要です。特に、母乳を中心に育っている子は気をつけましょう。

WHOが推奨する「補完食」という考え方があります。母乳だけでは足りなくなる栄養やエネルギーを補完するため、早い時期(生後6か月ごろから2回食)から、5倍がゆのような主食、鉄分が豊富な赤身の肉や魚を食べるよう勧めています。

日本の場合は、5か月ぐらいはお試しの時期です。6か月ぐらいになると、食べることに慣れてきて2回食になったり、食材も増えていきます。ずっと10倍がゆばかりではありません。だんだんごっくんと飲むのが上手になってきたら、おかゆも7~5倍がゆに進めてもいいでしょう。

鉄分補給のために

貧血の予防に、鉄分が多い赤身の肉や魚を、離乳食初期の赤ちゃんにあげてもよいのでしょうか。
「消化」という意味では、ポタージュ状にできれば食べられます。ですが、赤身の肉・魚は加熱するとかたくなるため、赤ちゃんには食べにくく、ハンドミキサーでペースト状にするなど調理も大変です。

手間ひまかけて鉄分豊富なごはんを作ったのに、舌触りが合わず、赤ちゃんが食べないこともあります。最近は鉄を意識した、離乳食初期から食べやすいベビーフードが増えているので、活用してもいいでしょう。
※含まれる鉄はごく微量の場合もあるので、栄養成分表示を確認しましょう
※海外のベビーフードは、日本のベビーフードの基準を満たしていない場合もあるため、表示をしっかりよく読んで使用しましょう

鉄分が多く、吸収されやすい食材は、特に赤身の肉や魚、レバー、貝類などです。豆類、卵や青菜などは、ビタミンCといっしょに食べると吸収されやすくなります。これらの食品には、鉄以外の不足しがちな栄養素も多く含まれているので、早い時期から取り入れましょう。

鉄を含む食材を組み合わせたメニュー

肉や魚を中心に、豆や青菜、ビタミンを含むイモ類などを組み合わせる、調味料として粉ミルクを使うなど、さまざまな食材から鉄をとるとよいでしょう。
※レシピメモはこちら

大人も子どもも鉄分補給は大事です。毎日の食事に、親子で鉄を意識したメニューを増やしていってください。

レシピメモ

鉄を含む食材を組み合わせたメニューの一例です。

粉ミルク入り ツナのさつまいもボール(後期~完了期)

材料(1人分)
さつまいも
30g
ツナ水煮(食塩無添加)
15g
粉ミルク(粉ミルクを規定分量の湯で溶かしたもの)
小さじ2
作り方
  1. さつまいもは皮をむいてゆで、マッシュ状につぶします。ツナは細かくほぐします。
  2. ボウルに、(1)と粉ミルクを入れて混ぜます。
  3. 子どもの食べやすいサイズに丸めます。

小松菜がゆ 納豆のせ(中期~完了期)

材料(1人分)
おかゆ
時期に合わせた量
ゆでた小松菜の葉先
10g
ひきわり納豆
15~20g
作り方
  1. 小松菜をみじん切りにして、おかゆと混ぜます。
  2. 納豆はお好みで湯通しして、時期に合わせて適宜つぶします。
  3. (2)を(1)のおかゆの上にのせます。

豚ひき肉のトマト煮(中期~完了期)

材料(1人分)
豚赤身ひき肉
10~20g
大さじ1
トマト(皮と種を取り除いたもの)
30~50g
作り方
  1. トマトをみじん切りにします。
  2. 耐熱ボウルにひき肉と水を入れ混ぜます。
  3. (2)のボウルにラップをふんわりとかけ、肉に火が通るまで電子レンジ(600W)で20~30秒加熱します。
    ※中期の場合はすりつぶします
  4. (3)のボウルに(1)を加えて混ぜ、ラップをかけ、さらに20~30秒加熱します。

まいにちスクスク「離乳食のきほん」の番組記事

まいにちスクスク
 
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