歯磨き、歯並び、むし歯~子どもの歯の不安~

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第1回 歯磨き、歯並び、むし歯~子どもの歯の不安~

img_vol1_01初めて子どもの歯が生えてきたときって、親としては特別な感覚がありますよね。
口を開けるとちょっと見える1本だけの白い歯が、とても愛おしく感じたママも多いと思います。でも歯が生えると、歯磨きやむし歯、もしかすると歯並びなども気になるかもしれません。

NHK育児番組「すくすく子育て」の解説から、「子どもの歯の不安」について確認しましょう。解説をいただいたのは、倉治ななえさん(日本歯科大学附属病院臨床教授)です。

歯磨きを嫌がらない方法

img_vol1_02お子さんは、歯磨きを嫌がらずにちゃんとできていますか?
中には、歯磨きを嫌がってしまい、困っているというママ・パパもいるかもしれません。
子どもが嫌がらない歯磨きテクニックを確認しましょう。

【嫌がる理由のほとんどは「痛いから」。痛くない歯磨きテクニックを!】
(解説:倉治ななえさん)
歯磨きを嫌がって暴れるのは、一生の中のほんの短い時期。工夫して乗り越えましょう。子どもが歯磨きを嫌がる理由のほとんどは、「痛いから」。乳幼児期には、上唇の裏側にある上唇小帯というひもが、上の前歯と前歯の間まできています。

前歯を磨く時に強くゴシゴシすると、上唇小帯を切ってしまうことも。少しでも傷つくと非常に痛いので、赤ちゃんは歯磨きを嫌がります。上唇小帯を指で抑えて、歯ブラシが当たらないようにガードして磨きましょう。

また、痛くない仕上げ磨きをマスターしましょう。歯ブラシを短く持ち、小指を立てて子どもの頬に当てて固定します。そして、歯ブラシの毛先2列くらいを使って、歯の表面に直角に当てて軽く圧迫したまま、ブルブルと震わせます。この、毛先をゴシゴシと動かさない「圧迫磨き」なら、お子さんは痛がらず、うっとりしてくれますよ。

うちの子、むし歯になりやすい?

img_vol1_03食事やおやつのあと、歯磨きをしないで寝てしまったりすることってありますよね。
そんな時、むし歯にならないか心配されることもあると思います。また、毎日ちゃんと歯磨きをしているのにむし歯になった!なんて場合もショックですよね。
そもそも、むし歯になりやすい体質などあるのでしょうか?

『むし歯の原因は、食生活や唾液の質などにある場合も。』
(解説:倉治ななえさん)
歯の質に遺伝はあまりないのですが、唾液の質は遺伝の要素もあると言われています。きちんと歯磨きをしていても、むし歯の原因は食生活や唾液の質など、他のところにある場合があります。甘いものは時間を決めて食べる、食べる時によく噛んで唾液をたくさん出すことも、むし歯予防に効果があります。ぜひ、むし歯になった原因と、それに対してどうしたらいいかを歯医者さんによく聞いてみてください。

むし歯リスクを下げる方法

img_vol1_04多くのママ・パパが、子どもがむし歯にならないように気をつけていると思います。
しっかり歯みがきすること以外に、むし歯リスクを下げる方法は、どのようなものがあるのでしょうか?

『「ちょこちょこ食べ」は禁物!だ液の作用で歯が修復。』
(解説:倉治ななえさん)
甘いお菓子を一度にたくさん食べるよりも、少量をちょこちょこ食べ続けるほうがむし歯のリスクは高まります。そもそもむし歯菌は食べ残した糖分を栄養にし、口の中に酸を吐き出します。この酸が歯を溶かし、むし歯になるわけです。1日3度の食事の後はむし歯リスクが高まりますが、空いた時間に分泌されるだ液が、酸を中和してダメージから歯を修復してくれています。でも一日中ちょこちょことジュースやお菓子を口にしていると、酸性になった口の中をだ液が中和する時間がありません。むし歯リスクを下げるためにも頻繁に間食をさせるのは厳禁です。

歯並びが悪くて心配!

img_vol1_05ある程度歯が生え揃ってくると、歯並びが気になる場合があるかもしれません。
ママやパパの歯並びが悪い場合に、遺伝する可能性などはあるのでしょうか?
歯並びの不安について解説します。

『一般的には成長を待ってから。歯並びによっては乳歯のうちに矯正が必要なものもあります。』
(回答:倉治ななえさん)
一般的には乳歯のうちから歯科矯正することは少なく、様子を見ながら成長を待って行うことが多いですが、歯並びの種類によって異なります。乳歯のうちに矯正したほうがよいのは主にあごの骨にかかわるもの。具体的には、以下のようなケースです。
・下の歯が上の歯よりも前に出ている“受け口”のケース
・上の歯が下の歯を覆い隠すほど前に出ているケース
・奥歯はかみ合っているのに前歯にすき間があるケース
・上下のあご自体がずれて歯全体がかみ合っていないケース
これらは乳歯のうちに矯正したほうがいい場合もありますので、早めに専門医に相談しましょう。骨格のずれは、遺伝性のものだけでなく子どもの日常生活にも原因があります。成長過程の子どものあごは骨格が粘土のように柔らかいため、たとえばいつも下を向いていたり、長期にわたって指しゃぶりなどをすることであごの骨格が歪んでしまうこともあります。

今回の特集は、いかがでしたでしょうか。
「ちょこちょこ食べ」はしないようにして、毛先をゴシゴシと動かさない「圧迫磨き」で痛くない歯磨きを心がけてくださいね。
来週は、きっと悩んでいるママ多いのではないでしょうか、「離乳食の不安」について解説します。


子どもの食と歯特集

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