第2回 むし歯のメカニズム
■手ごわい!悪玉ミュータンス菌
むし歯の原因菌の中で、特に注意しなくてはいけないのが「ミュータンス菌」です。もともと誰の口のなかにも「常在菌」と呼ばれる普通のむし歯菌がいます。常在菌も糖分を食べて酸を出しプラークをつくりますが、水溶性のプラークなので歯みがきで落とすことができます。しかし、ミュータンス菌の出すプラークは水に溶けず、歯みがきではなかなか取り除くことができません。しかも、ミュータンス菌はほかの菌に比べ、長時間大量に酸を出します。まさに、むし歯をひきおこしやすい「悪玉」なのです。
●ミュータンス菌と常在菌の違い
| 原因菌の種類 | プラークの特徴 | 酸の量・放出時間 | 対策 |
| ミュータンス菌 | 水に溶けない ⇒歯みがきでは落としにくい |
常在菌に比べて多くて長い | 歯みがき だ液による中和・再石灰化 フッ素による歯質強化 キシリトール 親子感染の予防 歯科での専門的クリーニング(PMTC) |
| 常在菌 | 水溶性 ⇒歯みがきで落ちる |
ミュータンス菌に比べて少なくて短い | 歯みがき だ液による中和・再石灰化 フッ素による歯質強化 |
●ミュータンス菌は感染する!
ミュータンス菌は、常在菌ではないので、生まれたばかりの赤ちゃんにはありません。すでに感染しているママや家族など周囲の人から「だ液」を介して感染するので、注意が必要です。言い換えれば、乳歯のうちから感染予防を徹底し、永久歯が完成する15歳くらいまで感染させずに乗り切れば、その子の歯は一生むし歯になりにくくなるのです。だからといって、乳幼児の発達に大切なスキンシップをやめる必要はありません。抱っこやほおずり、キスくらいなら大丈夫です。ただし、口移しで食べさせたり、スプーンやはしを赤ちゃんと共用にするのは避けた方がいいでしょう。
●赤ちゃんをミュータンス菌から守るためには?
(1)家族全員でむし歯予防
赤ちゃんとの接近度の高いママだけでなく、むし歯の多い家族と暮らしていたら、赤ちゃんの感染リスクも当然高くなります。正しい歯みがきはもちろん、食生活を見直したり、家族全員が歯科健診を定期的に受けるなど、赤ちゃんのために、家族みんなで健康な歯を保つ習慣をしっかり身につけることが大切です。
(2)キシリトールを利用する
ガムなどによく使われる天然甘味料キシリトールは、むし歯菌が食べても酸の材料にならないだけではなく、特にミュータンス菌の繁殖を抑えたり、ミュータンス菌の出す不溶性でネバネバのプラークをさらさらにして取りやすくしたり、さらに、歯の再石灰化を促す効果があることもわかっています。食後には家族でキシリトールガムをかんだりするとよいでしょう。赤ちゃんにもガムを、というわけには行きませんが、1歳半くらいからキシリトールタブレットを与えられるので、ミュータンス菌対策に利用するのもよいでしょう。

食物の糖分をエサに酸を出し、歯の表面のエナメル質を溶かす

キシリトールが口の中に広がると……

むし歯菌はキシリトールを食べても、酸を作ることができません

ミュータンス菌の繁殖も抑えられ、むし歯になりにく環境に
