赤ちゃんの目 〜子どもの遠視・乱視〜
つぶらな瞳がかわいい赤ちゃんですが、その澄んだ目がちゃんと機能しているか、見えているかどうかは、外からではよくわかりません。そこで、赤ちゃんの目の発達について、えだがわ眼科クリニックの枝川宏先生にお話をうかがいました。
■見る力の発達を阻害する遠視や乱視
大人のような視力検査ができるようになる3歳以降では、メガネなどで適切な視力矯正ができるようになります。「メガネをかける」というと「近視」と思いがちですが、小さいお子さんの矯正は、実はほとんどが「遠視」なのです。近視とか遠視という言い方は、目の中の光の屈折状態を表しています。もし、この光の屈折が適切でなく、目で見たクリアな映像が脳に伝わらない状態がつづくと、将来的に視力が出にくくなる恐れがあります。
なぜならば、幼児期に脳の中の「ものを見るシステム」を発達させるには、ピントのあったクリアな映像情報を脳に伝え、「見る」に関わる脳細胞を刺激しつづけることが大切なのです。ですから、幼児の場合、比較的近くがよく見えている「近視」よりも、近くも遠くもぼんやりとしか見えない「強度の遠視」や、ものがゆがんで見える「乱視」にこそ、注意が必要になります。
■強度の遠視と乱視
強度の遠視や乱視の場合は、近くも遠くもぼんやりとしか見えなかったり、ゆがんで見えてしまうので、「ものを見るシステム」を育てるために必要な刺激が脳に伝わりません。そのまま気づかずにいると、弱視になってしまう恐れがあります。3歳児健診などで、視力が出ないとか、お子さんの様子からよく見えていないようだと感じたら、眼科を受診してください。いずれにせよ、早期発見・早期治療がなによりも大切です。
■弱視
メガネをかけても視力がでない状態を弱視といいます。遠視や乱視の矯正をしなかったり、左右の視力が極端に違っていたり、長期に眼帯をしていたりして、脳の「ものを見るシステム」が育っていないために、たとえ眼球の機能が正常でも、目が映した映像を脳が受け止められなくなっているのです。小さいときに見つかれば、視力が出る可能性が高くなりますから、乳幼児健診などで、早期発見・治療につとめましょう。
■斜視
正面から見ると、内側や外側、上側や下側に黒目がずれている状態を指します。単純に位置の問題だけではなく、ずれがわずかであっても感覚の異常をともなうこともあり、適切な治療が必要です。斜視の検査では、視力や両眼視の能力も調べます。斜視によっては小学校に上がる前には治療しておかないと、両目で立体的にものを見ることができなくなるなど、問題がでてきます。
<<屈折と視力の違いについて>>
近視や遠視、乱視というのは、目の中の光の屈折を表しています。ものを見たときに、目の中で結ぶ映像の位置や状態など、目の構造上の特徴を示しているのです。いわゆる適切な位置で映像を結ぶことができる場合は「正視」といいます。
これはいわゆる「視力」とは違います。視力は、例えば短距離走のタイムと同じで、測定時に「どのくらい見えるか」といういわば「総合的な能力」を意味しています。ですからもし目が「近視」の構造をしていても、視力を測ると標準値とされる「1.0」が出る方もいらっしゃるんですよ。